8 事情聴取
俺達は□□を事情聴取しました。
相棒が質問して俺がまた供述調書担当でした。
あの時の様子をまたここに書きますね。
相棒
「・・・お前が、あいつら7人の犯人達を
ずっと操ってたのか?」
□□
「・・・間違いありません。私がやりました」
相棒
「スピーカーを使ってあいつらを操ったのか?」
□□
「そうなりますね」
相棒
「スピーカーであいつらに病気を移したのか?」
□□
「ん?・・・スピーカーで精神疾患が移る事は
ありませんよ、刑事さん」
相棒
「あいつら同士で統合失調症が
感染していったのか?それとも、
お、お前が感染させたのか?」
□□
「・・・彼ら7人は赤の他人ですよ。
彼らは個別に統合失調症になった者達です」
相棒
「・・・どうやってあいつら7人を操ったんだ」
□□
「いいでしょう・・・
スピーカーを家電に仕込んだのは私です。
そこから定期的に声を流し続ける様にしました。
殺せ とか、復讐してやれ とか、
世界を困らせてやれ とかね」
相棒
「そ、それでそんな簡単に、人を操れるのか?」
□□
「普通は無理でしょうね。ですが統合失調症の
患者なら容易に操れるでしょう。
彼らは幻聴を聞くのが当たり前になってますから
スピーカーから声を流してもそれが幻聴だと
思うでしょうね」
相棒
「正体不明の声、つ、つまりお前の声は
テレビを消しても、外でも聞こえると
言ってたぞ、それに、耳栓しても聞こえるって
言ってる奴もいたぞ?どういう事だ!?」
□□
「落ち着いて下さい刑事さん・・・
彼らは精神が不安定なんです。なので、
スピーカーから何度も同じ声を聞かせれば
その声が恐怖やストレスで強く印象に残って
スピーカー無しでも幻聴として聞こえる様に
なるんですよ」
相棒
「・・・だから外でもお前の声が聞こえたって
事か?」
□□
「そういう事です。精神が不安定な彼らなら
幻聴を何度も聞けば、操る事も可能でしょうね」
相棒
「いや、待て・・・
お前の声でスピーカーから
何度も声を聞かせたんなら、
お前を疑うんじゃないのか?」
□□
「確かに・・・統合失調症の幻聴は、
家族や友人など近しい人の声で聞こえる事が
多いのです。なので、その声は
私の声に似た幻聴ですよ、と診察の時に
教えれば、彼らはいとも簡単に
信じてくれましたよ」
相棒
「お前は、せ、精神科医だから・・・
そういう事も分かったって事か?」
□□
「その推論で間違いありません」
相棒
「何故、あいつら7人なんだ?あの患者達に
恨みでもあったのか?」
□□
「いえ、恨みはありませんよ。
操り人形になってもらうには精神が不安定な方が
容易いと思ったんです。例えば幻聴に
悩まされてたりね。そう、統合失調症の彼らなら
スピーカーを使えば操れると考えて、
彼らには私の操り人形になってもらいました」
相棒
「最初から統合失調症の人を狙ってたって事か」
□□
「ええ、その通りです」
相棒
「・・・あいつらが全員統合失調症だと、
ど、どうしてわかった?」
□□
「・・・刑事さん、
私は彼ら患者達の担当医なんですよ。
話は簡単です。難しく考える必要はありません。
・・・私が診察したからですよ。
彼らが統合失調症だと誰よりも理解してるのは
担当医である私ですよ。
ついでに話しますと、彼らの住所は
カルテを見れば一目瞭然です。
私はカルテという彼らの個人情報を自由に
見れる立場ですので。
それに、精神科医である私は、治療の為に
彼ら患者達と良く会話をして、彼らの事を
良く知ってるんですよ。
例えば何時に家を出て会社に行くとか、
何時に帰ってくるとかね。
彼らの家を調べて、留守中に忍び込んで
小型スピーカーを仕込む事など、
私にとっては簡単な事なんですよ」
相棒
「・・・さ、最初から統合失調症という
精神が不安定で、幻聴が聞こえる人達を選んで、
彼らの個人情報をカルテや会話から調べ、
スピーカーを仕込み、何度も聞かせて、
恐怖やストレスを、あ、与えて
本当の幻聴にして、彼らを操った・・・
そういう事か?」
□□
「お見事。上手くまとめてくれましたね」
相棒
「・・・おい、お前が統合失調症を
彼らに移したんじゃ無いのか?」
□□
「ん?彼らは最初から統合失調症だと、
私が診察したと、さっき言いましたよね?
刑事さん」
相棒
「・・・統合失調症は、移るのか?」
□□
「ほう・・・興味深い質問ですね・・・
いいでしょう刑事さん。
単刀直入に言いましょう・・・
統合失調症は、感染します!」
相棒
「・・・精神疾患は、情動感染のせいで
同じような精神状態になる事はあるが
た、例えば幻聴とかの症状まで移るとは
ネットで調べても載っては無かったぞ?
どういう事だ?」
□□
「おや、熱心にお勉強してくれてるんですね。
今までそのような事例が無いからと言って
今後も永久に無いとは言い切れません。
もう一度言いましょう。
統合失調症は、感染します」
相棒
「何故そこまで断言できる!?」
□□
「実例を知っているからですよ」
相棒
「何だと?感染した奴を知ってるってのか!?」
□□
「ええ!良く知ってますよ!」
相棒
「ならそいつを教えろ!参考人として
連れて来るからよ!!」
□□
「その必要は無い!!」
相棒
「どういう事だ!?」
□□
「もう貴方の目の前に居る!!!」
相棒
「・・・・・何?」
□□
「私が!!!患者達から!!!
統合失調症を移された、本人だ!!!!!」
被疑者は、自分が統合失調症を移されたんだと
そう言ってました。
つづきます




