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9/13

9 事情聴取つづき

前回のつづきです。被疑者が自分が

患者達から統合失調症を移されたと言った所まで

書きましたよね。

つづき書いていきます。




相棒

「・・・お前が、移されたって?」

□□

「ええ・・・そうですとも・・・。

私は、心の病に苦しんでる人達を一人でも多く

救いたいと思って、精神科医になりました。

そしてあの△△精神病院で長く勤務してました。

一人一人、親身になって彼らを診察したり、

彼らの心を癒す為に深く話を聞いてあげたり、

そんな事を繰り返す内に、私自身も

情動感染してしまったんです。

・・・被害妄想、無関心、認知機能低下、

それらの症状に悩まされました。

でも、精神科医が精神疾患になるなんて、

あってはならない事でしょ?

もしこんな事がバレたら、

精神科医としてやって行けない。

・・・だから、誰にも話せませんでした。

独りで抱え込むしかなかったんです。

症状が続いても周囲にバレない様に必死で

平静を装って医者を続けてました。

・・・刑事さん、貴方ネットで調べたのなら、

情動感染から身を守る方法も

知ってるんじゃないですか?」

相棒

「・・・確か、距離をとるとか、

相手の話を聞き過ぎないとか、だったか」

□□

「ええ、その通り。私もそれが出来れば

良かったんですがね。

私は毎日患者達の診察を

続けないといけないから

患者達から情動感染を受け続けてたんです。

そしてとうとうある日、声を聞いたんですよ」

相棒

「声って、幻聴の事か?」

□□

「そうです。最初は 死ね、とか 辞めちまえ

とか 医者失格だ、とかでした。

統合失調症の幻聴は9割が悪口や批判です。

私はこの幻聴が聞こえた時、精神科医として

認めざるを得なかった。

・・・自分は、統合失調症に感染したのだと。

私は幻聴に悩まされながら精神科医を

続けました。毎日その日を乗り越える事に

必死でした。それと、社会全体も

精神疾患に対する理解が行き届いてるとは

到底言えない環境だったので、

私は依然として、

誰にもこの悩みを打ち明けられずに

独りで抱え込んでいたんです。

きっとそんな私の世間への不満も

影響したのかも知れませんね。

ある日から幻聴の内容が変わって行ったんです」

相棒

「・・・どんな風に、変わったんだ?」

□□

「世間に復讐してやれ、とか 

お前の苦しみを奴らにも味あわせてやれ、とか

攻撃の対象が自分ではなく

世間や周囲に向いていきました。

それと、仲間を増やせとか、

自分以外を巻き込むような幻聴も

徐々に増えて行きました」

相棒

「・・・あいつら7人を操ったのも

その仲間を増やせとか言うげ、幻聴のせいか?」

□□

「それも理由の一つですが、出来るだけ

自分では手を汚さずに安全圏に居た方が

確実に結果を出せると思いませんか?」

相棒

「幻聴に脅迫され、彼ら7人を操った。

それがこの連続強要事件の、お前の動機だな?」

□□

「その通り。ようやく最後の答えに

辿り着きましたね」

相棒

「・・・統合失調症は、治るのか?

あ、あいつら7人は治るのか?」

□□

「おや、彼らを心配してあげれるとは

さすが刑事ですね。貴方を率直に尊敬しますよ。

・・・統合失調症の治療法は、

主に薬物治療とリハビリテーションです。

完治するには個人差が非常に大きいですね。

数年かかる場合もありますよ。

・・・質問は以上ですか?」

相棒

「・・・取り敢えずはな」

□□

「さて、刑事さん。私の動機は幻聴なんです。

というか、今も私には聞こえてるんですよ。

よくやった、とか お前の勝ちだ、とか

私を祝福する幻聴がね」

相棒

「・・・何言ってる?」

□□

「刑事さん、この後裁判が始まれば、

私は統合失調症の幻聴による心身喪失状態を

主張します!」

相棒

「お前!いい加減にしろよ!?」

□□

「私だって感染した被害者なんですよ!

責任能力無しと判断され、

無罪になるでしょう!」

相棒

「だまれー!!」

□□

「あー裁判がたーのしーみだなーー!!」

相棒

「うるせー!!やめろーーー!!

やめろって言ってるんだーーーーー!!!」

□□

「・・・刑事さん?・・・はは、

そ、そうか・・・貴方も?・・・

は、ははは!これは傑作だ!最高だよ!」

相棒

「だまれ!だまれ!だまれーーーーー!!!」

□□

「それは私に言ったんですか?

それとも自分にですか?」

相棒

「やめろーーーーー!!!」

□□

「ははは!ははは!ははは!ははははは!」




自分の統合失調症という病気を盾に、

□□は裁判で心神喪失状態を主張すると

言い出したんです。

この国の裁判の前例から考えても

被疑者□□が責任能力無しと判断され

無罪になる可能性は高いでしょうね。

俺も悔しいですが、ここから先は

俺達刑事にも、どうする事も出来ません。


□□を任意同行した時に俺が感じた

捕まる事を恐れてないような、

隠し玉を用意してるような印象、

あの正体はこれだったんでしょうね。

□□は精神科医なので、

心身喪失状態と判断される条件や

基準を良く知ってたのかも知れません。


□□を送検し、俺達の捜査は終了しました。


ですが、皆さんにまだ伝えたい事があります。

俺の相棒の事です。

あいつの事を伝えきるまで

この話は終われません。

どうか最後までお付き合い下さい。


つづきます

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