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操色師②

誤字脱字・表現ミス等ございましたら、お気軽にご連絡ください。

実演した(しろがね)金子(かねこ)は皆に一礼し、元の場所に戻る。


操色師(そうしょくし)になれと一言で言ってもそう簡単になれるものではありません。ですので、私から少しだけ色の武器傾向についてお話ししましょう。操色師は全部で七つの系統があります。先ほど二人が見せた、白系統、黄色系統、赤系統、紫系統、青系統、緑系統、黒系統があり、それぞれ得意な武器というものが存在します。白系統は防御や味方の援護になる呪い(まじない)、黄色系統は鞭、赤系統は刀剣類、紫系統は毒や相手が不利になるような呪い、青系統は銃、緑系統は弓矢、黒系統は全ての武器を得意とします」


 山田は不気味な笑みを浮かべながら語る。

(ながれ)黒金(くろがね)のカラーコアが黒色だったことを思いだし、実は凄腕の操色師なのでは!? と思考を巡らせる。


「もし赤系統の者が弓矢や呪いを使おうとした場合、出来ないことは無いが、自身の色を捻じ曲げることになるので武器を生成するのに時間がかかり、不出来な代物が完成する。よって、自身の色が得意とする武器を生み出した方が無難だ。しかし、例外として長年自身の色を極めると唯一無二の武器を生成できるが、それができるのは限りなくレアだ」


 その後も長く山田の説明が続く。

山田の説明を嚙み砕くとこうだ。

原則、一人一色しか持つことはできない。そして、その色に合わせて得意な武器や術が存在し、自分が持つ色以外が得意とする術や武器を作り出そうとすると、その武器や術を作り出すための色が不足し、不出来な代物が完成し、威力も落ちる。

だから、自分が得意とするもので戦った方が何かと良いらしい。また、色によって武器のつくり方が違うらしい。黒と白以外の色は、自分の色を「抽出(ちゅうしゅつ)」することで武器や術が使える。一方、白と黒は自身の色と他人の色を混ぜることで精度が上がり、他の色の武器や術と同等レベルになるらしい。

だが、黒と白は他人の色を混ぜすぎると、自身の色が揺らぎ、人によっては性格や思想が変わってくるため気をつけなければならない。

つまり、流と黒金はかなり扱いが難しい系統の操色師なんだそう。


「え……無理じゃん」


 思わず本音が漏れてしまう。

操色師という存在をつい最近知り、突然操色師になれと言われすぐになれるものか。

しかも、操色師の中でも白と黒系統操色師は数がものすごく少ないらしい。

詰みだ。

流は頭を抱え、落ち込んでいると黒金が流の肩に手を置く。


「大丈夫。私が教える」

(しん)ちゃん~……!」


 流は黒金に抱き着こうと黒金に飛び掛かる。

黒金は飛びつかれるのを察知して、綺麗に流をよけ、流はそのまま地面に倒れ込んでしまう。


「もう! 酷いよ!」

「ごめん、飛びつかれるのは……ちょっと」


 地面に不貞腐れた顔で座り込んでいる流へ黒金が手を差し伸べる。

流は手を取り立ち上がると、早速、呪いの出し方を教えてもらう。


「白系統は呪いがメインとなる。だから、目に見えないものが多い。だが、呪いを出せた時感覚で分かるものらしい」

「へぇ。そうなんだ」

「あぁ。白も黒も色を混ぜて術や武器を作るのが基本だが、単色で作れないこともない」

「そうなの?」


 黒金は頷く。


「ただ性能が落ちる。そして、術や武器を出すのが圧倒的に難しくなるだけだ」

「そんな簡単に言わないでよ! 怖い!」


 流は黒金に駄々をこねるが、うるさいと一喝されてからは大人しく呪いを出す練習をひたすら繰り返す。流と同じく元々一般家庭だった参加者も同室の者や操色師の友人に手取り足取り教えてもらっており、早い人だとすでに武器を具現化している者が現れ出した。

近くで操色師としての力に目覚め出している人を目の当たりにすると、呪いの「ま」の字も見えない流は一人で焦りを感じ、集中力が途切れだす。

そんな姿を横で見ている黒金は、流の練習を止め休憩にした。


白雲(しらぐも)

「……」


 声をかけるが返事はない。

流の視線と意識は、武器を具現化させ喜んでいる参加者に釘付け状態だった。


「白雲!」


 黒金は怒鳴るように大きな声で流を呼ぶ。

流は肩を飛び上がらせ、黒金の方を向く。


「な……何?」

「焦るな」

「え……?」

「焦っても意味がないと言っているんだ」

「……それ、私を馬鹿にしてるの?」


 流を励ますつもりで言った言葉が間違った意味で届いてしまったらしい。

流は不機嫌そうに黒金を睨む。

黒金は誤解を解こうと言葉を探すが、どれも曲解されそうな言葉ばかり浮かんで黙り込んでしまう。

焦りを募らせる流は黒金の黙り込む姿を見て、自分を馬鹿にしていると、肯定の意味でとらえてしまい黒金の姿が見えない所で練習を再開する。

黒金は離れてしまう流を引き留めようとしたが、彼女を留める言葉が出てこず下を向いて黙り込んだままだった。


「随分と元気がないようですね……」


 大桜(おおざくら)が黒金の目の前にやってきて、黒金を滑稽だと見下ろす。


「誰だ? アンタ」

「誰? 私の親友を奪っておいてそんな言い方……本当に気に食わない人ですね……!」


 嫌味ったらしく大桜は吐き捨てるように言った。

黒金は初対面の大桜にここまで言われる筋合いはないと彼女を鋭い目つきで睨みつけるが、大桜は怯むことなく堂々と椅子に座っている黒金を見下ろす。


「黒金さん……貴方操色師ですよね……? でしたら、私と一戦手合わせをお願いしてもよろしいでしょうか?」

「手合わせ?」


 大桜は薄ら笑いを浮かべながら頷く。


「手合わせと言いますか、流さんを賭けた決闘を貴方に申し込みます……!」


 か弱い声だが芯のある強い瞳で黒金を見下ろす。

黒金は大桜の発言に目を大きく見開いた。


「なぜ流を賭ける必要がある?」

「なぜですって……? ……そうですか……貴方は流さんを奪った自覚が無いのですね……!」

「待て、アンタが何を言っているのか理解できない。私はーー」

「御託は要らない!!」


 大桜の首元に下げられている桜色のカラーコアのネックレスが光を放ち、大桜の右手に桜模様があしらわれた打刀を黒金の首元に向けられる。

黒金は身動きが取れず大桜を睨むと、か弱そうな見た目の少女だった彼女の姿がみるみると変わっていく。薄い桜色の髪が濃い桜色へと変化し、右肩に緩く縛られていた三つ編みが解け、瞳の色が夜桜色から、髪色と同じ濃い桜色へと変色している。

表情も強気な顔に変わり、先程の大桜とは全く違う、別人へと変化していく。


「さあ、()ろうか」


 大桜はぎらついた目を輝かせ、黒金に刃を振るう。

この作品に登場する人物・場所、施設は全てフィクションです。

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