49.管理室から(ラファエル セロの寄稿)
管理部管理室のラファエル セロです。まあ、管理室って言っても私一人なんですけどね。
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私の朝は、管理室のモニターで幾つかの数値をチェックする事から始まります。
まずは空気。コロニー内の気温、気圧、酸素及び二酸化炭素の分圧など。異常があれば、酸素供給系や二酸化炭素回収系の動作状況をチェック。あと、あんまり考えたくないんですが、エアロックや内壁の空気漏れなんかを疑ってみる。幸い、現在までのところこの手の異常には遭遇していません。
次は電気系統。と言っても発電系統は李さんが見てますから、わたしは配電系。そして、機器の故障とかが見つかれば対応します。この間はリオコさんの部屋のIHコンロが点かなくなったので修理しましたね。あと、私物の家電とかが壊れた時も連絡下さい。大抵の物は修理出来ますから。アニタ姐さんのドライヤーも直しましたよ。
そのあとは水周り。と言っても、上下水はアニル君とアルトゥールさんが面倒見てますから、私が毎朝やるのは水圧のチェックくらい。まあでも、故障の連絡が入れば私が修理に行きますよ。
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さて、モニターチェックが終われば巡回に出ます。共用トイレ、キッチン、ロビーなんかのチェック。電球切れてたら交換します。その間に館内にロボット掃除機を走らせて床掃除。
室内が終わったらエアロック室。ここはどうしても砂が溜まるんで、毎日掃除機をかけます。これはロボット掃除機共には無理。与圧服着て私がやります。
で、全部終わったら、管理室に戻って待機。何もなければ午後には暇になります。どうです、意外と優雅な仕事でしょ?
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電気、水、空調、その他何でも面倒見なきゃならないんで、幅広い知識と技術が要求されます。その辺はヴォロディミル君とちょっと近いかも。部品が無い時は図面引いて作ることもあります。管理室で作るのかって?いやいやさすがにそれは無理なので、他部署にお願いするんですが、どこに頼むと思います?
モビリティ開発室です。
意外に思われるかも知れませんが、水回りとか空調とか、車や飛行機に結構同じような部品が使われてるので、まずはここを頼ります。
それでもダメだった時?私が図面引いて、モビリティ開発室に泣きついて作ってもらいますね(笑)。まあ、簡単なものだったら試作室の3Dプリンタで何とかなる事もありますが。
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あと、管理室は防災センターも兼ねています。館内には火災報知器と気圧・O2センサーが各所に設置されていて、管理室のモニターで常時監視しています。私がいない時はA Iがモニターを見ています。怖いのは火災と内殻の空気漏れ。火災の時はロビーに一時避難、空気漏れの時は自室かエアロック室のどちらか近い方に行って与圧服を着て下さい。その後の避難方法は状況に応じて館内放送で指示します。皆さん宜しくお願いしますね。
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さて、あとひと月程で、核融合船ヘリアンフォラ号に乗って追加クルーがやって来ます。それと同時に現クルーの半数は地球へ帰還します。
差し引きで人数は倍近くに増えるので、これからリトプス1は賑やかになり、本施工部の工事も、今までの1.5倍くらいのペースで進んで行きます。
私?私は居残り組です。なので、リトプス1の完成を見届けることが出来ます。ちょっと楽しみですね。
この火星開拓記も、これで現クルーの全ての寄稿文が揃います。でもこれで終わりじゃないでしょう。新しいメンバーにまた「不幸の手紙(笑)」を出さなきゃいけませんね。赴任早々変なメールを貰った最初の寄稿者は、一体どんな顔するのかな。
また最初の一人は、アルフォンソ先生からメールお願いします。確か先生も居残り組でしたよね。
宜しくお願いします!
寄稿文はこれにて終了。次回、エピローグで完結となります。




