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短めです
更新が亀みたいですみません……orz
…こんなにも緊張するのは久しぶりだ。
ただひとつの扉を前に、深く息を吸う。
「…大丈夫」
私はひと思いに扉を開けた。
そこはこじんまりとした空間で、必要最低限の物しか置かれていなかった。そしてそこにいたのは、やはりジークハルト様だった。
「…」
「…」
その場に縫いとめられたように動けなくなった私は気まずくなって視線を泳がせる。そして言い募った。
「あの!私、イレーヌ様に言われてこちらに来たのです。はやくアリサのいる西門に参りましょう?」
自分でも何を言いたいのかわからなくなってきた。兎に角、早く話とやらを済ませてしまいたい。…この気まずい状況を抜け出したかった。
「…西門は任せてある。心配無用だ」
「でも、」
「俺が、リーファと話をしたい」
一言ずつ区切るようなしっかりとした言葉に私は何も言えなくなる。想う相手を目の前にして心の内は嵐のように荒れていた。意味もなく心臓の音が大きく聞こえる。
視線を合わせようとしない私に、ジークハルト様は小さく自嘲的な笑みを口元に浮かべた。
「…俺は触れても構わないだろうか」
はい、と頷いたところでジークハルト様が目の前に立っている事に気づく。一際大きな音を立てて心臓が鳴り、息を呑んだ時にはもう遅かった。
「俺は、リーファの涙を見たくない」
その言葉と共に私はジークハルト様の腕に閉じ込められた。力強く引き寄せられ、離さない、とでも言うようにきつく背に腕が回される。
「…リーファが涙を流すたびに自分の中で何かがおかしくなる。ぬぐってもぬぐってもリーファは苦しそうなままで…。それがもどかしくて堪らないんだ」
こんなに側にいるのに、と耳元で囁かれて顔が赤くなる。頭では冷静になれ、とわかっているのに心はそう上手くコントロールできない。
「…どうして、そんなこと」
戯れでもこんな勘違いしそうなことはしないで欲しい。本当に、本当にあらぬ思い違いをしてしまう。その前にこの腕から逃れなくてはならない。
「離してください」
「絶対、離さない」
「…離して」
「嫌だ」
「…っ離して!」
強く胸を叩いてもビクともしない拘束に悲しくなってくる。逆に、ジークハルト様の腕はさらにきつく背に回されていた。
「どうか、聞いて欲しい」
肩を怒らせる私に対してジークハルト様は至極穏やかな態度で話す。そして、不意に背中に回されていた腕とジークハルト様のぬくもりが離れていく。
…離れてしまっては寂しいと感じるなんて、都合が良すぎる。無造作に流した髪で表情を隠し、ぎゅうっと胸を締め付けた痛みに蓋をした。
「リンドベルク王国が王女、リルフィリア姫」
その畏まった文句にゆるゆると視線を上げると、そこには床に跪くジークハルト様の姿がある。彼の黒い瞳には揺らめく炎が見えた気がした。
「私は貴女を愛している」
『私のお嬢様が悪役令嬢かもしれない件について。』という短期集中連載をはじめましたm(__)m




