第1話02
落ちていく感覚がなくなったころ、雅鷹はそーっと目を開けた。
そこは見たことある天井、電気。
「あ・・・あれ?」
起き上がって周りを見渡す。
見たことのある机、椅子、壁。
そしてまったく消えていない自分の体。
『そうそう・・・これ俺、ここにいたんだよ俺』
やはりさっきのは夢だったのだ。
頬をつねってみる、痛い。
「んだよ~。あ~ビックリした」
ホッ、と安心してから制服に着替えて雅鷹は下のリビングに降りる。
テーブルの上にはすでに作られている朝食と置手紙があった。
”朝ご飯、早く食べろよ。
食器はちゃんと流しに出しといて
鷹尋”
雅鷹の弟、鷹尋からの手紙だ。
鷹尋は眉目秀麗、文武両道の絵にかいたような人間だ。
兄の雅鷹より身長が高く、さらに料理などの家事もできる。
雅鷹は幼いころから周囲の人間に鷹尋と比べられてきた。
「ホットケーキかよ・・・。朝からこんな甘いもん食えるか」
そう言って雅鷹は出された朝食をしまおうと、冷蔵庫を開けた。
そこには、”兄さんへ”と書かれたお弁当があった。
これも鷹尋が雅鷹に作ったものだ。
鷹尋は自分の分だけではなく、雅鷹の分まで
毎日お弁当を作っていた。
しかし雅鷹はほとんどそれには手をつけず、
自分でコンビニで買って食べていた。
鷹尋のことをあまり好いていないため、
鷹尋の作ったものを食べる気がしない、ということだ。
お弁当を再び冷蔵庫の中へしまい、
違う段に朝食のホットケーキやスープを入れた。
時計を見ると、すでに8時を回っていた。
なぜだろうか。
いつもなら走ってでも学校に間に合おうとするが、
今日はそういう気になれなかった。
むしろ学校を休んでしまいたい、と思ったのだ。
雅鷹は学校に「風邪で休みます」と電話をし、
2階に上がって自分の部屋へ向かった。
部屋に向かう途中鷹尋の部屋が見える。
とてもきれいで埃1つない部屋。
自分の部屋とは大違いだ。
部屋に入り、ベッドへ飛び込んだ。
鷹尋が昨日干してくれたのだろう。
とても温かく、清潔感があった。
そのままうとうとし、雅鷹は瞼を閉じた。




