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天国からのお礼状  作者: 猶清
第1章
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14/15

第3話01

今日の夢は懐かしい夢だった。

鷹尋と自分と父と母・・・。

5年前、交通事故で両親が他界。

よく祖父祖母が自分らを可愛がってくれたのをよく覚えている。


母が笑っている。

父が笑っている。

鷹尋が笑っている。

そして自分は・・・

泣いている?


今はみんないるのに。

みんな自分の手を握ってくれているのに。

笑顔でいてくれているのに。


あぁ、そうか。

”現実”は誰もいないからか。



ピピピ・・・ピピピ・・・

目ざまし時計が朝を告げる。

ピピピ・・・ピ・・・

その目ざまし時計のボタンに手を置く。

何か良い夢を見ていた気がする。

しかし何も覚えていなかった。

雅鷹は時計を見た。

”7時30分”

昨日はあれからどうしたのか。

白い世界に行って、契約して、光を見て・・・

それから・・・。

「それから・・・どうしたんだ?」

あのまま雅鷹は倒れてしまった。

その後の記憶は何もない。

雅鷹は周りを見渡した。

ここは自分の部屋ではなかった。

いや・・・自分の家ではないのだ。

それもそうだ、殺人事件があった家にいられるわけがない。

雅鷹は自分の服を見た。

袖のところに血が付いている。

あれは夢ではなかったのだ。

夢だったらどれだけ良かっただろうか・・・。

雅鷹は血を避けるように服の袖をまくった。

そして雅鷹はもう1つの異変に気付いた。

「何だ・・・?これ・・・」

自分の手首にはめられている銀色の腕輪。

真ん中には黒い十字架がはめ込まれている。

とても綺麗だ。しかし、その美しさに恐怖さえ感じるほどだ。


「おや、とてもお似合いですよ、雅鷹くん」

突然聴こえるその声。とてもきれいな声だが、どこか冷たさを感じさせる。

バッとその声のする方へ振り向くと、

窓から白と黒の羽が大量に舞い込んできた。

そして・・・

「・・・!雨鼓!!」

やはり彼だった。

全てのことを知っているであろう人物。

「そんなに睨みあげないでください。可愛いお顔が台無しですよ?」

「うっせ!気持ち悪いこと言ってくんな!

 それよりなんだよこれ!」

雅鷹は雨鼓に手首をつきだした。

雅鷹の手首につけられた腕輪を見た雨鼓はクスリと笑った。

「それは契約の証しですよ。それを付けているってことは契約が成立した証拠です」

「契約・・・」

全て現実だった。

雅鷹は心のどこかで今までのことが夢ではないか、と思っていた。

「頑張って手紙―もといお礼状を集めてくださいね」

「お礼状・・・?」

「えぇそうですよ。手紙を集めろと言ったでしょう?手紙というのは大きな分類で、

 ホントはお礼状、というのですよ」

そういえば言っていた気がする、と雅鷹はゆっくり思い返してみた。

お礼状を集めれば願いがかなう・・・。そう言っていた。

「お礼状のほかに、なにかあるのか?」

「えぇ。他には嫌疑状というのがあるのですよ。簡単にいえばお礼状とは全く逆の

 意味をなしているものですね」

「お礼状って・・・”悩”を救ったら貰えるって・・・。

 それ、実際はどうしたらいいんだ!?」

「・・・救えばいいのですが・・・。まぁ実際に行った方がわかるでしょう」


雨鼓は1枚の紙を取り出して、雅鷹に見せた。

そこには黒いペンで”志藤道真 9:48”と書かれていた。

「志藤道真って・・・俺のじいちゃんの名前だ・・・」

「この紙は契約した者にしか見えません。よくその辺にたくさん紙が落ちてるでしょう。

 直接あなたに届く場合もあります。

 この紙の意味は、志藤道真《シドウミチザネ》さんは9時48分に何か悩みを抱える、ということです」

「つまり、その悩みを救えれば、お礼状は貰えるってこと?」

「まぁ・・・そういうことになりますね」

16時26分にじいちゃんは悩みを抱える。

それを救えればお礼状が貰える。

雅鷹は時計を見た8時13分。

その時間はもうすぐやってくる。

そして今、雅鷹はその祖父の家にいる。

「俺って結構ラッキー人間なんじゃね?」

「は・・・はぁ?」

「俺頑張るわ!よっし、そうときまれば・・・」

雅鷹は急いで部屋を飛び出し、階段を駆け下りていった。

「おはよう!じいちゃん!ばあちゃん!」

「雅鷹!」

ドアを開けた瞬間、祖母の彰子《アキコ》が雅鷹に抱きついた。

「辛かったねぇ・・・苦しかったろう・・・?」

鷹尋のことだろう。

祖母としても自分の孫を亡くしたのだ。相当辛いだろう。

「大丈夫だよばあちゃん。俺は・・・」

彰子のすすり泣く声が聞こえた。

雅鷹はそっと彰子の背に手をまわした。

少しやせている。髪の毛も白髪が混ざっていた。

彰子はとても綺麗な黒髪を持っていた。

しかし今は見る影もない。

「ばあちゃん、俺昨日から何も食べてないんだ」

「あ、そうよねぇ。今とっておきに朝食を作るから」

「ありがと」

雅鷹はソファに腰掛けた。

『ばあちゃん・・・目、腫れてたな・・・」

たくさん泣いたのだろう。

そう考えると少し胸が痛んだ。


「雅鷹」

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