第3話02
「じいちゃん!」
9時48分に悩みを抱える張本人、道真だ。
「辛かったな・・・雅鷹・・・」
「じいちゃん・・・」
同じく目が腫れている。
雅鷹はすっと立ちあがって道真の前に立った。
「俺は大丈夫だよ。それよりも鷹尋の真相を知りたいよ・・・」
「そうだな・・・一体どうして・・・あんな良い子が・・・・」
”良い子”。その言葉が雅鷹の胸に響いた。
そのいい子にひどいことを言って、そのまま・・・。
雅鷹は目をつむって頭を抱えた。
思い返すと俺は何て残酷なことをしてしまったんだろう。
俺は・・・。
「雅鷹!どうした?具合でも悪いのか?」
「あ・・・大丈夫だよ。ちょっとお腹すきすぎて貧血気味で・・・」
「雅鷹、ご飯できたよ!いらっしゃい」
「うわぁ・・・すげぇ・・・」
テーブルに並ぶたくさんの料理。
色とりどりで食欲を誘う。
そして、雅鷹の好物ばかりだった。
思えば鷹尋に料理などの家事を教えたのは彰子だった。
5年前、両親を亡くした雅鷹と鷹尋を助けてくれたのは祖父と祖母だ。
どちらにも頭が上がらない。
「いただきます」
ゆっくりと箸を口に運ぶ。
シャキシャキと音がする。
新鮮な野菜で作った色とりどりのサラダ。
鷹尋の料理と同じ味がした。
「うまい!やっぱばあちゃんは料理うまいや!」
「ふふ・・・ゆっくり食べな。ぜーんぶアンタのだからね」
「良かったなぁ雅鷹。わしも少し・・・」
「じいさんはさっき食べたでしょ!」
「あはは・・・」
鷹尋が死ぬ前までと同じやりとり。
この2人はいつもこうだった。
どんなに辛いことがあっても同じように接してくれる。
今、もししんみりしてたらたまらなかっただろう。
「ごちそうさま!やっぱおいしいなぁ」
「ありがとう雅鷹。お茶入れるからゆっくりしてな」
ふ~、とため息をついて再びソファに腰掛けた。
ちらっと気になり時計を見る
”9時00分”
その時間まであと48分。
今の様子からすると何もないように思えるが・・・。
「雅鷹ー。お茶飲みなさい」
「あ、うん」
湯呑を持つ。
入れたてなのでとても熱かった。
しかし、中身はそうでもない。
飲みやすく、そして味が深い・・・。
飲み終わり雅鷹は2階へ上がり寝ていた部屋に戻った。
この部屋は昔、雅鷹の母、つまり彰子らの娘が使っていたものだ。
ずっと綺麗に保たれている。
「おや、おかえりなさい雅鷹君。どうでしたか?」
・・・そうか、コイツがいたんだ。




