第2話02
雅鷹は驚いて、雨鼓のことを睨みあげた。
「答えられないって・・・どういうことだよ!?」
「そのままの意味ですよ。答えられません。
正しく言うと・・・”今は答えれられない”ですけど」
雨鼓はそう言って、雅鷹の左腕をつかんで壁に押し付けた。
雅鷹の左腕に激痛が走る。
「な・・・にしやがるっ!」
「貴方、このままでは死にますよ?」
「!!?」
雅鷹はつかまれた左手を振りほどこうとするが、
掴まれた力が余りにも大きく、動くと余計痛みが増した。
「以前もそうだったでしょう?貴方はここから出ようと思っても出られなかった。
しかし、私が来たことにより貴方は出られた。
つまり、貴方が戻るためには私が必要なんですよ」
以前のことを思い出した。
夢だとわかっていてもどうにも起きられない。
しかし雨鼓が来て、”もうすぐ覚める”と言ったら
本当に起きることができた。
「じゃあ・・・ここにいると自然に死ぬってことか?」
「そういうことですね。このままだと確実にあなたの体は崩壊しますね」
とんでもないことを笑顔で言うんだな・・・と逆に少し感心してしまった。
雅鷹は掴まれた左手を振りほどこうとするのをやめ、
全身の力を抜いた。
「俺が助かる方法は・・・ないのかよ?」
「今のままではありません」
雅鷹はがっくりと足の力を抜き
俺もここで死ぬのかな・・・
そう思った、が
ふいに疑問に思った。
「今のまま・・・?」
先程もそうだった。
”今は答えられない”
そう確かに雨鼓は言った。
そして今も・・・
「今のままじゃなければさっきの答えも教えてくれるし、
俺も死なずに済むんだな?」
雨鼓はワッと感心したように口を開いた。
「そうですよ、賢い子は好きですね。」
「じゃあどうやったら”今”の状況から変われるんだ?」
雨鼓は掴んでいた力を緩め、雅鷹の左手を解放した。
雅鷹は足の力が入っていないため、その場にしゃがみこんだ。
「契約すればいいんですよ」
「え?」
雅鷹は雨鼓を見上げた。
その表情は笑っているのにとても冷たい目。
雅鷹は全身が震えだした。
「契約すれば、貴方は死なずに済みます」
「契約!?」
そういうことか・・・とため息をついた。
契約すればここから出られる、しかしそのかわりに
契約した代償もとられる、というやつか。
「・・・契約すればいいんだな?」
「そうですけれど、あまり驚かないんですね」
「いや・・・よくあるパターンだろ?漫画とかで」
雨鼓は漫画を知らないのだろう。
ポケっとした表情でこちらを見てきた。
「んじゃ早く契約しようぜ。どうやればいいんだ?」
「あ、そうですね、じゃあ・・・」
そう言って雨鼓は懐から一枚の紙とボールペンをとりだした。
そしてそれを雅鷹の前に突き出し、言葉をつづけた。
「これの名前とかその他もろもろを書き込んでください」
「へ?・・・契約ってコレ!?」
「そうですよ?普通じゃないですか」
いやいや・・・こういうときの契約は大抵
なんか紋章付けたり契約印とかじゃないのかっ!?
雅鷹はあまりに現代的の契約の仕方に驚いたが、
その契約書の項目を見た。
①名前
②住所
③電話番号
④生年月日
⑤好きな食べ物
⑥嫌いな食べ物
⑦願い事
「・・・どこのプロフィールだよ」
「ぷろふぃーる?」
「あ、いや。なんでもない」
①、②、③、④まではわかるが
下の3つの意味がわからなかった。
食べ物って何の関係もない気がした。
とりあえず書かないと契約は進まない。
雅鷹はしぶしぶ契約書を書き始めた。




