別れ
花はご飯を食べなくなった
動けず寝ている
お粥を作り、口へ運んでいた
もうダメかもしれない
寝かせておいて仕事に行くのが辛い
両目が目やにか何かが張り付いていて、開けたまま閉じられなくなっていた
ふらふらと私の方に来る花を抱き上げ、さっちゃんと後部座席に座らせ病院に行く
ブレーキを強く踏んでしまい、花が転がり落ちた
「さっちゃん!花をちゃんと抱いてて!」
「さっちゃんできないよ!」
自分が悪いのにさっちゃんに八つ当たりする
花痛かっただろうに、声も出せない
目を綺麗にしてもらって家に帰った。凄いな、こりゃ。と先生は花の目を見て言った
もう目は見えていませんよ。と言われた
何日か続き、もう水すら飲めなくなった
あんなに太っていたのにガリガリに痩せていた。
「花、今までほんとにありがとうね、ごめんねごめんね」泣きながらまた焼酎を飲んでいた
ベットまで花を運び、さっちゃんと私の真ん中の枕に寝かせて寝た
夜中にハッと目が覚めた
花は目を開けたまま冷たくなっていた
花、私を1人にしないで
置いていかないで
こんなに悲しい思いがあるか
仕事は休んでしまった
庭先のベンチに腰をかけ、泣いていた
隣の怖いおばちゃんが「どうしたん?」と話してきた
犬が死んでしまったと話すと
隣に座り慰めてくれた
花の死を聞き、姪たちもすぐに飛んできた
「花ちゃんありがとう天国で幸せになってね」そう書いた手紙を遺体の側においた
この世に未練があるままだと、目はあけたまま亡くなるとどこかで聞いた
現実を受け止められず病院に連れていき、泣きながらほんとに死んでいますか?そう聞いた
お父さんが動物の火葬場へと連れていってくれた
私はずっと泣き続けた
お墓に埋葬して貰いお骨を貰って帰った
お母さんは「あのこはきっとあんたの事心配で最後まで死にきれなかっただろうに」
そう言っていた
花子17歳だった
良く長生きした
人間では100歳くらいではないだろうか
しんちゃんといた頃からの私を見つめてきてくれた
私の事を一番分かってくれているように思っていた
翌日「昨日はすみませんでした」と職場に行くと
「大丈夫ですか?もしかして楠本さんとこ犬死んだんちゃう?って皆いってましたよ」と、言われるのだった
隣のおばちゃんはそれから気にかけてはおかずを持ってきてくれたりするようになった
豐くんには「花がしんじゃった」とメールしたが返事はなかった
タンスの上に花のお骨が置いてあった
ある夜、寝ていたら廊下を動物が走る音が聞こえた
「花?」
花がまだいるのかも知れない。そう感じた
その話をすると甥は「怖い!そんなの何で家に置いとくんだよ」
そう言われて埋葬しに行くのだった
モモだけカットに連れていった。美容師さんは「あれ?花ちゃんは?」と聞いてきた
亡くなる前にカットに連れてきていた
死んでしまったこと、遺体に綺麗にしてもらっておいて良かったね。と花に話したことを言うと、ハサミを持ったまま泣いてしまった
最後に切ってくれてありがとう。そう言って帰った




