施設へ
中へ入ると沢山の幼児がいた
さっちゃんがいた
近くにいくと先生のエプロンの中へ顔を入れて恥ずかしそうにしていた
今からお庭で遊びましょう。
他の子供が私と遊ぼうとして、寄ってくるが「さっちゃんだけと関わるようにお願いします」と言われる
庭へ出ると、砂場でスコップを持ち、座って穴を掘っているさっちゃんがいた
私は前に座り、「さっちゃんこんにちは!一緒に遊ぼうか」そう話しかけた。さっちゃんはこう言った
「あのね、たったんね」
「ママとバイバイちたの」
下を向いたまま穴を掘る
「そうなんだ」そう私が答えると
「パパともバイバイちたんだよ」
と言った
これが初めてさっちゃんと話した忘れられない記憶である
そこに、他の女の子が来て、さっちゃんのスコップを取って走って行った。
「バーカ!」そう言われた
さっちゃんは地面に頭をつけたまま動かない
「さっちゃん」声をかけて顔を覗き込んだ
怒っている!そう思った
起こそうとしても、ガンとして動こうとしない
先生が来て「皆でおやつ食べるよ!」と連れてってくれた
たった2歳でもママと別れたことを忘れていない
おやつが配られる
お皿にせんべい2枚ずつ
普通ならもっと好きなだけおやつが食べられるはずが、ここでは数が決まっていて、お茶も一杯と決まっている
大きな子供達は食堂で給食のような、食事を食べ、洗い場に出す
朝昼晩繰り返す
家庭で食べる食事などは経験しない。料理を手伝う、団らんしながら一緒に食べる、洗い物をする、残飯はここへ捨てる
そんな普通のことを、ここでは経験できない
学校へ行き、帰っても学校にいるようだ。合宿のようだった
施設で18歳まで育ち社会へ出ると、苦労をすると聞いた
だからこそ家庭で里親さんと生活することは、とても意味があるのだと聞いた
皆ね、プレゼントは送ってくる。でも会いにこない
子供達が欲しいのはプレゼントではないんですよね。そう言っていた
さっちゃんとは個室で2人で過ごすように、言われる
遊ぶものは何もない
テレビもない
あるのは絵本と紙とクレヨン
私はそれから毎日「チューリップ」の歌を歌いながら、さっちゃんにチューリップの絵を書いた
お昼寝したら、静かに施設を出て、次は仕事に向かうのだった




