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06. 彼女の記憶
少女は数字だけが振られたフォルダを開いた。その中には、どれもごく短い映像の断片が収められていた。散らばった映像のほとんどは風景で、旅先で何気なく撮影されたもののようだった。しかし、それ以上に多かったのは、ある人物との何気ない日常の記録だった。二人で川沿いの土手を散歩したこと、小さな食卓を囲んだこと、彼のギターに耳を傾けたこと......。
少女は傍らに置かれたノートへと再び視線を落とした。黄ばんだページには、フォルダと同じ番号が記されているだけでなく、その人への想いが隙間なく綴られていた。
――今日は晴れです。そちらも晴れているでしょうか ?元気にしていますか。
――あなたに会いたいです……。
母はかつて、祖父が一人旅の途中で事故に遭い、そのまま帰らぬ人となったのだと話してくれた。祖母は永い眠りにつくその時まで、毎日のように日記を書き続けていた。そして今、少女はその日記帳をめくり、紙の上で次第に乱れていく筆跡を見つめながら、思わず胸が締めつけられるのを感じた。
祖母はきっと、あの長い年月のあいだ、何度も繰り返しその映像を再生していたのだろう。映像の中の祖父の声に耳を澄ませながら、まるで彼が今もなお、この家で暮らしているかのように。




