37. メモ
朝起きると、机の上に一枚のメモが置かれていた。
そこには、こう書かれていた。
『今日は早く帰ってきて!』
母親が残したメモだろうと思い、読み終えると、その紙をゴミ箱に捨てた。
彼女はバスに乗り、今日の目的地へ向かった。
用事を手早く済ませ、日用品も買い終えたところで、近くのカフェでも調べようとした。
ポケットからスマートフォンを取り出したとき、その裏側に妙な感触があることに気づいた。
ひっくり返してみると、そこには朝、彼女が捨てたはずのメモが貼りついていた。
しかも、メモには新しい一文が加わっていた。
『用事が終わったら、すぐに帰ってきて!!』
彼女はその一文を数秒見つめ、最後にため息をついた。
どうやら、カフェには行けそうにない。
彼女は次のバスに乗り、そのまま家へ帰った。
家の前に着いたちょうどそのとき、大きな雷鳴が轟き、稲妻が空を走った。
彼女は驚いて、全身をびくっと震わせた。
そして、彼女のあとに兄も帰ってきた。
「早めに帰ってきてよかったよ!」
兄はリビングに入ると、背負っていたリュックをソファに放り投げた。
「市街地のほうは土砂降りで、もう冠水してるところもあるみたいだ。」
「もしお前がいつもみたいに、夕方になってから帰ろうとしてたら……近くのホテルに一晩泊まるしかなかったかもしれないな。」




