36/40
36. クッキーどろぼう
このところ、彼女は焼きたてのクッキーが、片付けをしている間に何枚か減っていることに気づいた。
たいていは、彼女がキッチンを離れているほんの数分の間だった。
今日も彼女は、午後のおやつにチョコレートクッキーをいくつか焼いた。
今回は忘れずに、先にクッキーを保存容器に入れてから、片付けを始めることにした。
すると突然、背後から何かが落ちるような物音が聞こえてきた。
「……ん?!」
彼女が振り返ると、そこにはまるでガーデン・ノーム のような小さな生き物が、テーブルの上に立っていた。
その生き物は、一生懸命に保存容器の蓋を開けようとしている。
彼女が何か反応するより先に、その生き物はついに蓋を開けることに成功した。
そしてクッキーを二枚つかむと、くるりと身を翻し、窓へ向かって走っていった。
そのまま窓から外へ飛び降りた。
彼女は慌てて窓辺まで駆け寄り、外を覗き込んだ。
しかし、そこにはもう、ガーデン・ノームの姿はどこにもなかった。




