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物語ノ余白  作者: 丹夢
非日常のある日々
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35/40

35. コート

 クローゼットを整理していると、彼女にはまったく覚えのない茶色のロングコートが出てきた。

 自分で適当に買ったのか、それとも誰かに借りたまま返すのを忘れていたのか、どうしても思い出せなかった。

 幸い、ちゃんと防塵カバーがかけられていて、布地の状態もそれほど悪くなかった。

 彼女はそのロングコートをほかのコートと一緒に洗濯機に入れた。

 今日は珍しく天気がよかった。

 日が出ているうちに、厚手の衣類を急いで干してしまおう。

 洗濯物を干し終えると、彼女はリュックを背負い、市街地へ買い物に出かけることにした。

 「……あれ?どうしてあのコートがないの?!」

 夕方、家に帰って洗濯物を取り込んでいると、あの茶色のロングコートがなくなっていることに気づいた。

 彼女は、出かける前には確かに物干し竿にきちんとかかっていたことを覚えている。

 「今日は風も吹いてなかったのに……」


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