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34. ラジオ
祖母の家の書斎には、壊れたラジオが一台置かれていた。
彼女は以前、祖母に、どうして処分しないのかと尋ねたことがある。
祖母はただ微笑むだけで、何も答えなかった。
この日、彼女は家族と一緒に、久しぶりに祖母の家を訪れた。
「えっ?おばあちゃん、ラジオ捨てたの?」
書斎の前を通りかかったとき、あのラジオが見当たらなかった。
彼女は少し驚いて、祖母のところへ駆け寄った。
祖母によると、ある日の朝、書斎に来てみると、ラジオがなくなっていたのだという。
「ほかの人にも聞いてみたんだけど、誰もあのラジオには触ってないって……」
そう言いながら、祖母は突然、引き出しの中から一本のカセットテープを取り出した。
彼女は、そのラベルに貼られた紙をちらりと見た。
彼女はこのカセットテープに見覚えがあった。
そこには、祖父が録音した弾き語りが入っていた。
祖父と祖母にとって、それは二人の大切な思い出の品だった。
「何年か前に、うっかりこのカセットテープをなくしちゃったの。」
祖母は笑いながら言った。
「どこにしまったのか、どう考えても思い出せなくてね。」
「でもね、ラジオが消えたあの日、そのカセットテープが、もともとラジオが置いてあった場所に置かれていたの。」




