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物語ノ余白  作者: 丹夢
非日常のある日々
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34/40

34. ラジオ

 祖母の家の書斎には、壊れたラジオが一台置かれていた。

 彼女は以前、祖母に、どうして処分しないのかと尋ねたことがある。

 祖母はただ微笑むだけで、何も答えなかった。

 この日、彼女は家族と一緒に、久しぶりに祖母の家を訪れた。

 「えっ?おばあちゃん、ラジオ捨てたの?」

 書斎の前を通りかかったとき、あのラジオが見当たらなかった。

 彼女は少し驚いて、祖母のところへ駆け寄った。

 祖母によると、ある日の朝、書斎に来てみると、ラジオがなくなっていたのだという。

 「ほかの人にも聞いてみたんだけど、誰もあのラジオには触ってないって……」

 そう言いながら、祖母は突然、引き出しの中から一本のカセットテープを取り出した。

 彼女は、そのラベルに貼られた紙をちらりと見た。

 彼女はこのカセットテープに見覚えがあった。

 そこには、祖父が録音した弾き語りが入っていた。

 祖父と祖母にとって、それは二人の大切な思い出の品だった。

 「何年か前に、うっかりこのカセットテープをなくしちゃったの。」

 祖母は笑いながら言った。

 「どこにしまったのか、どう考えても思い出せなくてね。」

 「でもね、ラジオが消えたあの日、そのカセットテープが、もともとラジオが置いてあった場所に置かれていたの。」


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