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物語ノ余白  作者: 丹夢
非日常のある日々
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33/40

33. 奇妙なお店

 突然、大雨が降り始めた。

 傘を持っていなかった彼女は、慌てて近くの店へ駆け込み、雨宿りをした。

 木の扉を開けると、店内には骨董品のような装飾品や中古の品々、それにいくつもの奇妙な仮面が並んでいた。

 どうやら、ここは骨董店なのだろうか。

 彼女が店の奥へ進み、本棚の間を歩き回っていると、突然、大きな黒猫が現れ、彼女は驚いて飛び上がった。

 その猫は、普通の猫よりもずっと大きかった。

 黒猫は彼女を気にする様子もなく、カウンターのそばまで歩いていき、そこに座った。

 彼女は思わず、こっそりとそちらを覗き見る。

 黒猫は、誰かを待っているのだろうか。

 その視線は大きなショーウィンドウ越しに、外を行き交う人々へと向けられていた。

 チリン。

 誰かが店の扉を開けて入ってきた。

 逆光に浮かぶ背の高い人影は、彼女にはどこか不気味に見えた。

 黒猫はその人を見ると、すぐに駆け寄っていった。

 そして嬉しそうに、その大きな人影の腕の中へと潜り込んだ。

 「私の猫を見つけてくれて、ありがとう。」

 背の高い黒い影は、彼女に向かって軽く頭を下げた。

 彼女は戸惑ったまま、何の反応もできなかった。

 「影。」

 その人は床を指差した。

 「君の影のおかげで、愛猫の気配を見つけることができたよ。」

 そう言うと、彼女が見つめる中、背の高い黒い影と大きな黒猫は、一緒に姿を消した。

 そこには、濡れた足跡だけが残されていた。


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