33. 奇妙なお店
突然、大雨が降り始めた。
傘を持っていなかった彼女は、慌てて近くの店へ駆け込み、雨宿りをした。
木の扉を開けると、店内には骨董品のような装飾品や中古の品々、それにいくつもの奇妙な仮面が並んでいた。
どうやら、ここは骨董店なのだろうか。
彼女が店の奥へ進み、本棚の間を歩き回っていると、突然、大きな黒猫が現れ、彼女は驚いて飛び上がった。
その猫は、普通の猫よりもずっと大きかった。
黒猫は彼女を気にする様子もなく、カウンターのそばまで歩いていき、そこに座った。
彼女は思わず、こっそりとそちらを覗き見る。
黒猫は、誰かを待っているのだろうか。
その視線は大きなショーウィンドウ越しに、外を行き交う人々へと向けられていた。
チリン。
誰かが店の扉を開けて入ってきた。
逆光に浮かぶ背の高い人影は、彼女にはどこか不気味に見えた。
黒猫はその人を見ると、すぐに駆け寄っていった。
そして嬉しそうに、その大きな人影の腕の中へと潜り込んだ。
「私の猫を見つけてくれて、ありがとう。」
背の高い黒い影は、彼女に向かって軽く頭を下げた。
彼女は戸惑ったまま、何の反応もできなかった。
「影。」
その人は床を指差した。
「君の影のおかげで、愛猫の気配を見つけることができたよ。」
そう言うと、彼女が見つめる中、背の高い黒い影と大きな黒猫は、一緒に姿を消した。
そこには、濡れた足跡だけが残されていた。




