25/40
25. 狐
彼女が明かりを消し、寝ようとしたとき、ベランダから奇妙な物音が聞こえてきた。
最初はあまり気にしなかったが、その奇妙な音が何度も続き、彼女は少し苛立ってきた。
このマンションに引っ越してきてから、野鳥がよくベランダにやって来て遊んでいる。
また野鳥が何かいたずらでもしているのだろうと思い、彼女はカーテンを開け、外を見た。
その瞬間、彼女の思考が一瞬止まった。
ベランダの手すりに、一匹の狐が座っていた。
狐は前足で一本の木の枝を握り、彼女の物干し竿を何度も叩いている。
視線に気づいたのか、狐がちらりと彼女を見た。
次の瞬間、白い姿は月明かりの中へと消えていった。
「……」
あの狐はいったい何をしに来たの?!
いや、待って。
どうして彼女のベランダに狐がいるの?
しかも、ここは十二階だ。
いったいどうやってここまで上がってきたの?
彼女は頭の中を疑問でいっぱいにしたまま、再びベッドに横になった。
もしかしたら、彼女はとっくに眠っていて、さっき起こったことはただの夢の中の奇妙な出来事だったのかもしれない。




