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23. 街角のパン屋
この近くに、新しいパン屋ができた。
その店は夜だけ営業していて、ちょうど仕事が終わったあとに、翌朝の朝食を買って帰るのに都合がよかった。
今日もいつものように、彼女はあんパンと、小さな袋に入ったチョコレートクッキーを手に取った。
会計を待っていると、店主の女性の後ろから、突然、オレンジがかった赤色のふわふわしたものがひょこっと現れた。
彼女が気づいたときには、もうその姿は消えていた。
「お客様、どうかされましたか?」
「あ、いえ、大丈夫です。ありがとうございます!」
不思議そうに見つめる店主に、彼女は笑って首を横に振った。
袋に入れてもらったパンとクッキーを受け取ると、そのまま足早に店を出た。
通りの角まで来たところで、彼女はようやく気づいた。
さっき見えたものは……少し、狐の尻尾に似ていた。
それとも、店主の子どもが、たまたまおもちゃを持って店主の後ろを通っただけだったのだろうか。




