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21. 夜の街
このところ、彼女は会社を出る時間が少し遅くなっていた。
そのため、彼女は今まで気づかなかった、いくつかの不思議なものを目にするようになった。
夜のにぎやかな街を歩いていると、ときどき……ちょっと奇妙な光景を見かけるのだ。
人混みの中に紛れている、背の高い半透明の黒い人影。
信号の前に停まっているのに、運転手のいない古びたバス。
そして、コンビニの前にしゃがみ込み、おにぎりを抱えて美味しそうに頬張っている小さな生き物。
「……」
彼女はここ何日も、同じ場所で、餅のような姿をした奇妙な生き物を見かけていた。
最初は、疲れすぎて幻覚でも見ているのだと思った。
けれど、この状況はもう一か月ほど続いている。
それに……どうやら、この生き物が見えているのは彼女だけらしい。
「どうしたの?夜食でも買う?」
彼女が店の前に長く立ち止まっていたからだろう。先を歩いていた同僚が、不思議そうに彼女を見ていた。
「買わない、太るから。」
彼女はもうその奇妙な生き物を見ようとはせず、急いで同僚の後を追った。




