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物語ノ余白  作者: 丹夢
誰かの物語
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19/40

19. 舞台

 彼女は、どんな気持ちでこの野外ライブに来たのか、自分でもよく分からなかった。

 ステージの中央では、見慣れた長身の人影が、真新しいアコースティックギターを肩から下げている。

 そして彼女は、人混みの中で、少し傷のついたウクレレを抱えていた。

 ふと、彼女の視線がそのアコースティックギターへと向かう。

 ボディには、色褪せているものの、見覚えのあるステッカーが何枚も貼られていた。

 彼女は呆然としたまま視線を落とし、自分のウクレレを見る。

 そこにも、同じステッカーが貼られていた。

 それは何年も前に、彼女がメンバーたちに配った落書きのステッカーだった。

 目の前にあるのは、かつて彼女が憧れていたステージ。

 まさか、あの人が今もそのステッカーを持ち続けていたなんて。

 まるで彼女の夢や魂まで一緒に抱えて、ステージに上がっているようだった。

 彼女がもう一度顔を上げると、ちょうどその人と目が合った。

 空中で視線が交わった瞬間、二人は同時に、ふっと笑った。


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