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18. 海
強い風が顔に吹きつけ、彼女の大好きな潮の香りを運んできた。
傍らに置いていた花束が風に巻き上げられ、宙で一度くるりと舞う。
次の瞬間には、崖の下へと落ちていった。
泡立つ白波が、たちまち花束を呑み込んでいく。
その光景を見つめているうちに、胸の奥にあった言葉にできない憂鬱も、一緒に洗い流されていくような気がした。
彼女はスマートフォンを手に取り、指先で軽やかに画面を叩く。
『ごめん、たぶん間に合わない。今度また時間を合わせよう!』
メッセージを送ったその瞬間、彼女は手際よくスマートフォンを機内モードに切り替えた。
エンジンが再び低い音を響かせる中、彼女はハンドルを切る。
振り返ることなく、来た道を戻っていった。




