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16. 同じ歌
彼女は会場を見渡した。
聞き覚えのある旋律が流れ始め、ふと、初めてこのバンドのライブを見に来たときのことを思い出す。
あのときも、同じこのライブ会場だった。
オープニング曲も、同じ曲だった。
あの頃、彼女は隣の席に座っていた人と友達になった。
二人でいろいろなライブの情報を教え合うようになり、少しずつほかのファンとも知り合っていった。
気がつけば、いつの間にか一緒に旅行する計画まで立てるようになっていた。
あの日々は、本当に楽しかった。
ただ残念なことに、その後、何人かが遠くの街へ引っ越したり、生活環境が変わったりして、彼女もあの友人たちとはほとんど連絡を取らなくなっていた。
「ねえ! あなたも彼らのファン?」
「え? 私――」
突然声をかけられ、彼女は思わず目を丸くした。
顔を上げると、目の前の姿には見覚えがあった。
個性的なヘアピンと、生成り色のキャンバスバッグ。
それを見た瞬間、彼女は思わず口元をほころばせた。
「あなたは?」
「奇遇だね、私もだよ」
声をかけてきた少女が笑った。
「本当は開演前に会いに行こうと思ってたんだけど、遅刻しちゃって……」
それを聞いて、彼女は思わず笑い声を漏らした。
「「久しぶり!」」




