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15. 習慣
彼女は傘を差して寺の門前まで歩いてきた。読経の声に、ふと足を止める。
外出するとき、彼女はいつもわざわざ遠回りをして、この寺を訪れていた。
参拝するためではない。ただ境内をゆっくり一周し、ベンチで少し休んでから帰っていく。
長い間、彼女はこの習慣を続けていた。
まるで、通い続けていれば、あの人の姿にもう一度会えるような気がして。
けれど、彼女はずっと分かっていた。
会いたかった人は、もう二度と現れない。
それでも彼女は、気づけばまたここへ来ていた。
――本当に、いい習慣とは言えない。それでも、やめられなかった。
彼女は苦笑しながら首を横に振り、踵を返した。
来週末こそは、もうここへ遠回りして来ませんように。




