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14. ベンチの上の陽だまり
この本屋の前を通るたび、いつもベンチで眠っているゴールデン・レトリバーの姿があった。
いつからだっただろう。
ベンチの上にも、本屋の中にも、その姿を見かけなくなった。
以前、店長と話したときに聞いたことがある。
あの子は、もうすっかりおじいちゃんになったのだと。
もしかしたら……あの子は風に乗って、遠い遠い国へ旅立ったのかもしれない。
よく晴れた日に、彼女は久しぶりにその本屋を訪れた。
引っ越してから、この辺りへ来ることはすっかり少なくなっていた。
ショーウィンドウの前に置かれていた古びたベンチは、いつの間にか淡い色の木のベンチに変わっていた。
その木のベンチの上では、二匹の子犬が日向ぼっこをしている。
その金色の毛並みが、陽の光を浴びてきらきらと輝いていた。
チリン、チリン。
短く刈った髪の店長が、店の中から出てきた。
彼は腰をかがめ、子犬たちに優しく何か言葉をかける。
それから笑顔で、二匹をそっと抱き上げ、店の中へ戻っていった。
その光景を眺めているうちに、彼女の口元にも自然と笑みが浮かんだ。
チリン、チリン。
彼女はガラスの扉を押し開け、本屋の中へ入っていった。




