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10.古い本
近所の本屋でちょうどセールをしていたので、彼女は一気に十数冊の本を買った。
家に帰ると、午後のラジオを聴きながら、新しく買った本にブックカバーをかけていく。
新しい本を本棚にしまおうとしたとき、ふと目に留まったのは、一番上の段に並んでいた数冊の古い本だった。彼女はたくさんの本を持っている。一度読み終えてから、再び読み返すこともなく、ほとんど飾りのようになっている古い本もあった。
その数冊を手に取ってみると、どれも同じ作家の作品だった。ページは少し黄ばんでいて、余白には、ところどころメモや小さな落書きが残されている。
『これは、彼の最後の作品。』
そのうちの一冊の目次の横に、そんな一文が残されていた。
彼女は少しだけ手を止め、無意識に指先で紙をそっと撫でる。やがて黙って本を閉じ、その数冊を本棚へ戻した。




