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物語ノ余白  作者: 丹夢
誰かの物語
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10/40

10.古い本

 近所の本屋でちょうどセールをしていたので、彼女は一気に十数冊の本を買った。

 家に帰ると、午後のラジオを聴きながら、新しく買った本にブックカバーをかけていく。

 新しい本を本棚にしまおうとしたとき、ふと目に留まったのは、一番上の段に並んでいた数冊の古い本だった。彼女はたくさんの本を持っている。一度読み終えてから、再び読み返すこともなく、ほとんど飾りのようになっている古い本もあった。

 その数冊を手に取ってみると、どれも同じ作家の作品だった。ページは少し黄ばんでいて、余白には、ところどころメモや小さな落書きが残されている。

 『これは、彼の最後の作品。』

 そのうちの一冊の目次の横に、そんな一文が残されていた。

 彼女は少しだけ手を止め、無意識に指先で紙をそっと撫でる。やがて黙って本を閉じ、その数冊を本棚へ戻した。


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