2−02
「おぉ、凄いのぉ。キコウの子どもじゃないか!」
次の日、博士ならば何かを知っているかもしれない。
そんな思いでレナは昨日拾ったピルルちゃんを博士の研究所につれてきたのだが、その反応は思っていた以上だった。
プーグルーグ博士の目がレナの脇を飛ぶピルルちゃんに釘付けになっている。
ピュルリリーーー
ピルルちゃんがレナの周りをくるくると回るのに合わせて博士の目もクルクルと回っている。次第には博士の身体がふらふらと揺れ始める。
「ピルルちゃん、すとっぷ すとっぷー!博士が目を回しちゃう!」
レナは慌ててピルルを落ち着かせるのだった。
「博士はこの子のことを知ってるの?」
「もちろん知っておるよ。実物を見るのは初めてじゃがな」
「教えて教えて!」
「いいとも。こいつはなぁ、儂らが作るカデンのお手本の様な存在じゃ。物語で語られる様な伝説上の生き物を象った不思議な生物で
のぉ。野性機械とかキコウと呼ばれておる。コヤツはその子供じゃな。幼生体で暗闇ネズミと呼ばれておる。こんなに珍しいものどうしたんじゃ?」
「昨日、バーニーのお散歩の途中に河原の近くで拾ったんだ。あげないよ?」
レナがピルルを手で隠すようにして言う。
「いいのおー」
博士がピルルを触りたそうに両手をワキワキとさせる。
「ちゃんと連れて帰らないとバーニーが怒るよー」
バーニーは昨日帰ってから片時も放さずに抱いて寝かしつけて、ペロペロと毛づくろいをしたりと、我が子のように甲斐甲斐しく面倒を見ていたのだ。
「ふうむ。それは残念じゃ」
「ご飯は何をあげたら良いんだろう?」
「キコウは、大気中の水分を取り込んでいると聞くぞ。基本的には何かをあげる必要はないようだが、元気がなさそうなとき、は霧吹きで水を吹いてやると良いそうじゃ」
「そっかー。博士、ありがとう!」
「親方、そろそろ諦めて帰してあげましょうね」
なおもワキワキが止まらない博士にルークが横から釘を差す。
博士は渋々動きを止めて、まるで何でもないとでも言う様に製図台に向かった。
「それじゃあ博士、いろいろ教えてくれてありがとうねー」
「おーう、またくるんじゃぞー」
駆け足で帰ってゆくレナに声をかけて見送るのだった。




