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02出会い01

ここから描き下ろしで不定期更新になります。




   1   


ゴールデンレトリバーのバーニーは、自分をレナの保護者と認識している節がある。

毎日の夕暮れ時のお散歩も、レナが「お散歩にいくよ」と言うからついて行ってあげているのだ。だから、ルカが連れて行ってくれる午前中のお散歩とは違い、自分が前を歩く。お散歩には危険がいっぱい潜んでいるし、暗がりでレナが迷子になっては困るからだ。

「バーニー、お散歩に行こう」

そう言ってレナがリードを持ってくる。

今日もお散歩の時間らしい。

バーニーはムクリと起き上がってツイっと首を伸ばす。

そして、自分の首輪にリードが繋がり、その先端をレナがしっかり握っているのを確認すると、トタトタと先導して玄関に向かう。レナが靴を履くのを待って、ドアを開けてもらうと眼前に夕暮れの世界が広がった。

バーニーはこの朱色と黄金色と群青色の混じり合う夕暮れ時が好きだ。思わず尻尾がブンブンと動いてしまう。

振り返ってみると、リードの先のレナもニコニコしている。きっとレナもこの時間が好きなのだろう。

バーニーは意気揚々として歩き出す。もちろんレナの一歩前を歩くのだ。危険がないか左右に気を配りつつ歩いていく。時折、レナがしっかりと付いてきているか、楽しそうにしているかの確認も忘れない。

まだ少し寒いが、お散歩は良い。暖炉の前でゴロゴロしているのも好きだが、お散歩はもっと好きだ。

夕暮れの街がゆっくりと後ろに流れていき、空は朱色と黄金色はなりを潜め、群青色が濃くなっている。

すると、街のガス灯がポツリポツリと灯り始める。柔らかい光が藍色の世界でゆらゆらと揺れる。

川のせせらぎが聞こえてくる。石橋を渡って右に曲がる。右手に小さな土手を見ながら、川沿いに進む。

ふと、初めての気配を感じてバーニーは足を止めた。

クンクンと草むらの匂いを嗅いで、「わん」と一声吠える。

「バーニー、まてだよ。どうしたの?」

レナは止めるが、もうひとつ、警告の一声を上げようとしたところで、枯れ草の間から何かが飛び出した。

ピュリイイイィ

明るい光を持った、何か小さなものがスタッと道に着地する。

白くて、小さくて、丸いおもちみたいで、短い棒みたいな足が2本。まんまるの目が1つ。その目はオートモービルのヘッドライトみたいに光って、バーニーたちを見据えている。

「わぁ、この子何だろう!」

好奇心いっぱいにレナが反応した。バーニーが止める間もなく、猫のようなしなやかさで小さな生き物に飛びかかる。

ピィィッ

小さく悲鳴をあげて逃げようとしたようだが、遅かった。小さな生き物は、覆いかぶさるようにして飛び出してきたレナの手に捕らえられていた。

「バーニー。ほらほら、捕まえたよ」

レナは、起き上がって埃も払わずに、手の中のそれを見せてくれた。

「あれれ、動かない。大丈夫かな…」

小さな生き物は手の中でぐったりしている。目の明かりも消えていた。

レナが心配そうに揺すっているそれを、バーニーはベロンと舐めあげた。

ピヨイィ!

舐められてゾワッとしたらしい。その反応を見て、今度はペロペロと優しく舐めてあげる。

ピルルルゥ

小さな生き物は落ち着きを取り戻したようで、ふわっとレナの手のひらの上で浮かんでレナとバーニーの顔を交互に見比べている。目の明かりが消えたままなのは少し気になるが元気らしい。

「よろしくね。えーと、ピルルちゃん」

バーニーもクンクンと匂いを嗅いで挨拶する。

ピルゥ

小さな生き物はピルルという名前が気に入ったのか、それとも諦めたのか、もう逃げる素振りは見せない。

「それじゃ、ピルルちゃんも加えてお散歩の続きしよっか」

ピュイ

元気に返事をしたピルルにバーニーの大きな口が迫る。

はぐっとピルルを咥えて意気揚々と歩き出す。

ピ?

尻尾をブンブンと振って上機嫌でさんぽ道を進んでいく。

「バーニーもピルルちゃんの事が気に入ったみたいね」

新しい仲間に、レナもニコニコで2人とのお散歩を楽しんだ。



家に戻る頃には、ヨダレでベチョベチョになったピルルが少し不機嫌そうな目でこちらをみていたのだが、それはまた別のお話。


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