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2 10


2 10


ルークはわき目も振らず、ただ、人影の見えた砂丘を目指して走った。少し砂丘に近づいただけで丘の上の様子は見えなくなった。だから、遠くから見えた人影がレナのものなのかさえ解からない。だが、レナだと信じてただただ走った。砂丘の頂上が見えた。あと少し、あと一息。そして、視界が開けた。頂上に着いたのだ。そこで、ルークが見たのは、その場を離れようと必死のレナと、その手を掴んで行かせまいとする少年。そして、少年の後ろには1体の八面体機械。

「レナちゃん!!」

「え?ルーク?」

突然現れたルークの姿にレナが目を白黒させる。

「この、レナちゃんをはなせ!」実際は違うのだが、この状況では少年がレナをさらおうとしていると勘違いされても仕方が無い。ルークがルイセ目掛けて突進する。普段はおっとりしているルークだが、力は強い。

「うわぁ!」

ルークのタックルが決まり、ルイセは吹き飛んだ。

それを察した八面体機械がルイセとルークの間に割ってはいる。八面体機械はルークを敵とみなしたようだ。ルークを睨みつけるように静止し、次の瞬間飛び掛ってきた

。「こ、のぉぉぉ!

」ルークが咄嗟に腰のポーチからスパナを引き抜き、振り下ろす。ガシイィィン!

金属を打つ余韻が響く。たぶん偶然だったろう。スパナは八面体機械に命中した。八面体機械は、軌道をルークから逸れて、砂の上に落下した。



急に、全ての八面体機械の動きが止まった。しかし、それは僅かな間だけで、すぐにまた動き出す。

「なんだ?ルイセの護衛につかせた主機にトラブルか?」

メイナは弟を隠れさせた砂丘の方を見る。しかし、遠くて状況は良くわからない。

「しかたない、撤退か」

弟の身が危険に晒されようとしているかもしれない。メイナの決断は早かった。

八面体機械が一箇所に集合して、椀型に結合する。メイナはそれに飛び乗ると、ルイセのいる方角へと飛ばす。「あ、こら。待ちなさい」ティーエが叫ぶが、追いかける元気は残されていなかった。



ルークが叩き落した八面体機械だったが、すぐに息を吹き返した。ルークの背後でゆっくりと姿勢を正し、ふわりと宙に浮く。

「ルーク、危ない」

レナが警告を発する。

しかし、八面体機械は襲っては来なかった。メイナを乗せた椀型の機械が飛来してルイセを拾い上げる。そして、そのまま飛び去った。八面体機械も、それに追従する。


「レナちゃん、無事だった?」

メイナたちが去っていったのを確認してルークがレナに声をかける。

しかし、レナは、ルイセを突き飛ばしたルークにビンタする。

「悪い子じゃなかったのに!お友達になれるかもしれなかったのに!!」

「レナちゃん……」

ルークは俯いて肩を落す。

「よぉ、ボウズ。無事だったか」

駆け寄ってきたスコールの声で顔を上げる。

「なんだ、せっかくお姫様を見つけたんだ。もっと喜べや」

「あ、はい…」

「まぁいいや。色々あって疲れたもんな、しかたねぇ」

肩をすくめて見せる。

「なに?どうしたの?」

これは、ルリエの声。

「さぁね、俺ぁしらね。そんな事より、半分砂に埋もれてるマイハニーを掘り起こしてさっさと帰ろうぜ。と、こっちのお姫様とも無事合流できたんだ、今回の仕事はこれでおしまい。

これからは仕事名のスコールじゃなくてケインって呼んでくれよ。よろしくな」

そういってにっと笑う。

「どこまでがお仕事でどこからがお仕事じゃないの?」

レナが最もな質問をする。

ルリエは衣装が変わったらティーエと呼ぶようにと言っていたが、ケインの場合はそれが無い。「んあ?そうだな、俺ぁバックアップが多いからあんま着ないんだよな、あの衣装。まぁアレだ、お家に帰るまでがお仕事です。ってな

」「じゃぁ、まだだよ?

」「っと、そうか。まぁいいじゃねーか。あとは車でちょちょいっと町に戻るだけさ」

「そーやって、最後に気を抜いてヘマするタイプよね、ケインって」

ルリエが茶々を入れる。

「よせよ、ルリエと一緒にすんなや」

疲弊しきった一向に、少しだけ笑顔が戻った。






ルイセは、先ほどレナから受け取ったスカーレットジェムをポケットの中でそっと触れる。

「レナ…また会えるかな…」

そのとき、スカーレットジェムから電気が走る。

「え!?」

慌てて手を離す。ポケットの中で宝石だと思っていたものから僅かに息吹を感じる。ゆっくりと、鼓動のように明滅する赤い光。

「キミは…」

その時、ルイセはスカーレットジェムが本当は何であるかを理解した。

『カ・エ・リ・タ・イ』

「うん、僕も帰りたい。キミと一緒だね。でも、もう、帰る場所がどこにあるのかさえ解らない…」

「ルイセ、何か言った?」

「なんでもないよ、姉さん」





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