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12

今回は、ちょい長め。




12


サンサンと強い日差しが照り付ける荒野の真ん中で、プールを楽しむ。これはとても贅沢なことだと思う。乾燥した大地の少ない水で必死に生きる外の草木を見ると、罪悪感に苛まれることもあるが、それも、真夏のプールの楽しさにかき消された。

「どうしたの、レナちゃん」

少し離れたところでルークが手を振る。外の景色から視線を戻して「なんでもなーい」

と答えてビーチボールをポーンと放る。セーツィ号の屋上プールは、お昼前という時間のせいか、それとも、乗客の多くが招待された貴族で家族連れが少ない特別便という客層のせいか、ガラガラに空いており貸切の様だった。「こんなところでプールだなんて、不思議な気分」また、流れ行く外の景色に目を移す。

「本当だね」

ルークも近寄ってきて外の景色に目をやる。

「あ、あれ」

不意に、レナが遠くの空を指差した。

「え、何?」

ルークが指先の空に目を凝らす。

「なにか飛んでるよ」

レナの言うとおり、豆粒のように小さい何かがゆっくりと、ずっと遠くの空に浮かんでいる。

「あ、あれは雲吹きクジラだよ」

たしかに、良く見ると、それは昔の物語に登場するシロナガスクジラのような外見で、潮の代わりにもうもうと煙を吹きながら、悠然と空を泳いでいるように見える。

「一番大きな野生機械で300メートルくらいあるんだって」

「大きい!」

ルークの説明に衝撃を受けるレナ。

「ほら、煙を吹いているでしょう。あの煙が雲になって雨を降らせるから雲吹きクジラって呼ばれてるんだって。広い荒野の空を泳いでいて、滅多に見ることは出来ないって、本に書いてあったよ」

「それじゃ、わたしたち、すっごい運が良いんだね」

レナが屈託なく笑う。

「おーい、二人とも。そろそろ戻ってお昼にしよう。ワシはオムライスがいいのぉ」

プールサイドのビーチチェアでアロハシャツにサングラス姿のプーグルーグが水色のジュースが注がれたグラスを片手に、二人を呼ぶ。

「そういえばおなか空いたね」

博士の言葉で空腹であることに気づく二人。

「博士ー、今行くー」

元気良く返事して、レナたちは楽しいプールとはひとまずお別れすることにした。





セーツィ号の旅は快適そのものだった。この日、この時までは。しかし、事件は、突然に起こった。機長室のガラス窓を破って投げ込まれた1輪のハイビスカスの花が木製の机に刺さる。花にはカードが付いており「工房博で出展された自立型連結八面体機械『ブラックオニキス試作型』を頂きます。 南国色の怪盗団」と、予告状が書かれている。

「なんてえ事だあ!」

予告状を読んだ機長が奇声をあげながら機長室を飛び出してゆく。


「機関長、大変だ!」

機長が慌てた様子で機関室に駆け込んでくる。

「なんですかい?大慌てで」

「一大事だ!緊急停車、緊急停車!!」

「だから、いったい何が?」

「のんびりしている場合ではないよ。南国色の怪盗団にこの汽車が狙われておるのだ!」

「なんですって」

「ぼやぼやしてないで早く列車を止めたまえ!」

「へい、た、ただいまっ」

言って、機関長は慌ててバルブを緩め、ボイラーの圧力を解放する。次いで、緊急停止用ブレーキを思い切り引く。巨体の動力を担う巨大なボイラーから一気に水蒸気が吐き出される。ロックした車輪とレールの間に火花が散る。

キキキキキッ!!車体を軋ませてセーツィ号が急減速する。こうして、セーツィ号は、荒野のど真ん中で停車した。「はて。で、機長。なんで列車を止める必要があったんで?」

大急ぎで仕事を追えて、ホッとしたところで機関長が問う。

「そりゃー、簡単な事さ」

機長が自分の顔を剥ぐ。いや、変装マスクを剥ぐ。そして、邪魔なマントを払うような仕草でバッと衣服を取ると、そこには、真っ白なカウボーイといった風体の不精ひげの優男が立っていた。

「俺がティーエに、今すぐこの列車を止めてきなさい。なーんて難題をふっかけられちまったからさ」

「ひ、ひええ。な、なにもんだ、あんた」

機関長が腰を抜かす。

「ん、俺か?南国色のスコール登場。なんてな」

帽子のツバを直しながら気取ってみせる。

「じゃぁ、そういう訳で、このまましばらく停車でよろしくぅ!」スコールは機関長を手早くロープで縛り、軽い調子で機関室を後にした。


身に覚えの無い緊急停車を受けて、機長は緊急事態宣言を発令する。セーツィ号機内で警報が鳴り、慌しい空気に包まれる。

と同時に、上空でセーツィ号の停車を待ち構えていたティーエがトンボで空から接近。ぐるぐると周囲を回りながら、カラフルな煙幕を撒いてゆく。みるみるうちにセーツィ号は煙幕のなかに埋もれていった。


プールから戻る途中のレナたちだったが、警報に驚いたピルルがパニックで飛び去ってしまう。

「あ、待って!」

「こりゃ、レナちゃん戻ってきなさい」

博士が止める声を背中に、ピルルを追って駆け出すレナ。

ルークとプーグルーグはレナを追いかけようとするも、怪盗団をひと目でも見物しようという乗客が現れて車内が混乱。すぐに見失ってしまった。


セーツィ号の警備隊は、屋上(プールやオープンカフェなどがある部分)や・窓等から発砲。トンボ型野生機械:サウスに乗ったティーエは華麗にかわしながら煙幕を投げ続けるが、セーツィ号には接近は出来ない素振り。しかし、いつの間にかティーエの姿はサウスの機上には無く、実際には後部のティラスに降り立っている。今、煙幕をポイポイ投げているのはサウスの収納袋に入っている姫だが、煙幕が邪魔してティーエが居なくなっていることに警備隊は気づいていない。「うふふ~。煙もくもく、たっのすぃ~」


後部ティラスに降り立ったティーエは、まず外に立っていた一人の警備兵を回し蹴りでノックアウト。

車内の扉付近に居たもう一人の警備兵が、機長に知らせようと伝声管の蓋を開けると、バネ仕掛けのグローブが飛び出してきて華麗に顎を打ってノックアウト。隣に立っていたもう一人の警備兵が伝声管にあっけに取られている隙にティーエは姿を消して、次の瞬間警備兵の頭上から姿を現し。そのまま踏みつけてノックアウト。

「後方テラス無事にクリアーよ、っと」

誰にともなく報告をして、警備隊司令部には気づかれる事無くティーエは機内へと入っていく。


機内に入ったティーエは、窓から鏡で陽光を反射させ、空にいる姫に合図を送る。姫は「大サービス~」と袋の中の煙幕を全部放り投げて、ティーエと合流。

二人は通風孔を通って大型貨物室を目指す。


貨物室はセーツィ号の最後尾にある。1階が後方扉から開ける通常の貨物室。2階・3階が吹き抜けで天井の上部ハッチから開ける大型のコンテナ用。こちらは駅に備えたクレーンで搬入・搬出する。

庫内にクレーンを設置する計画もあったのだが、それは重量とばtsン都合上

キャンセルとなったようだ。

貨通気口物室2階に到着。上部ハッチのロックを解除。そして、目的のコンテナに何やら取り付ける。

「準備完了っと。スコールとの合流まで時間たっぷり、余裕ね」「あのね、あのね。ここに来る途中で、姫すっごい欲しいキラキラ見つけたの、うふふ~」どうやら、通気孔の金網の隙間から部屋の中で開けっ放しになっている宝石箱を見かけたらしい。

「目ざといわね。でも駄目よ」「なんでよぉー、時間あるって言ったじゃないっ。姫ちょっと行ってくる~」

「あ、コラ。待ちなさい!」

ティーエは姫を追いかけて、ある客室へ。

中に入ると姫が瞳をキラキラさせながら

「見て見てー、ほらほら似合うでしょ、このネックレス」

「そんなの重そうなの付けて、飛べるの?」

「・・・無理かもぉ。じゃぁじゃぁ、この腕輪は?ヒメの首にピッタリじゃない?」「あー、はいはい。合流時間なっちゃうから早くしてくんないかなー」

「えー、大丈夫よぉ」

「駄目っ!ほら、欲しいの持ってあげるから早くなさい」

「えっとねー、さっきのネックレス」

「はいはい」

「あとはあの指輪、それとね…」

「まだあるの?」

「あれと、これと、それと…えっとぉえっとぉ…」

次から次へと手渡してくる姫にティーエの堪忍袋の緒が切れた。

「あたし、先帰る」

「えーん、待ってよぅ。最後にあっちのネックレスだけー」

態度の急変したティーエに慌てて泣きオマケ、最後の一つを要求する。


その頃、スコールはセーツィ号機体後方の屋根に到着。開閉ハンドルを回して上部ハッチを開ける。

コンテナに取り付けたバルーンは予定通り膨らんでいるが…

「ありゃ、ティーエがいねぇ。また姫に振り回されてんな」

呆れ声でつぶやく。

しかし、予定の変更は出来ないので作業続行。

時計を確認して、バルーンを床に繋ぎとめているロープを得意の投げカードで切る。バルーンの浮力で徐々に浮き上がるコンテナ。

トンボに気を取られていた屋上の警備兵は煙幕の中からバルーンが上がるのを見て驚く。

上がってきたコンテナの上にスコールが飛び乗る。本来なら、そこにはティーエと姫も居るハズなのだが。

「一人で注目を集めるのも悪くねぇな」

御満悦でセーツィ号の屋上を見下ろす。警備兵がバルーンに標的を変えて発砲。しかし、これも予定通り。

パーーンッと大きな音を立ててバルーンが破裂。あまりの音に誰もが目をつぶった一瞬に、バルーンは消え失せて空飛ぶ野生機械に変わっていた。

漆黒のエイ型野生機械だ。広く平べったい胴体に鋭利な細長い尾。どうたいの上部に半ば埋もれる様にある双眸は妖しく光って見るものを不安にさせる。

誰もが初めて見る威容を放つその姿に、皆ビビって動けずにいるなか、漆黒のキコウはコンテナを持って悠々と飛び去った。



一方、セーツィ号内部では

「ピルルちゃーん、どこいったのー?」

逃げる人と野次馬とで慌しい中、レナは見失ってしまったピルルを探しだせずにいた。

「こら、キミ。非常時は危険だから出歩いちゃいかん。子供は早く部屋に戻りなさい!」

不意に、後ろから声がかけられた。

「南国色の怪盗団は一般人に危害を加えることはないとか言われているが、警備の邪魔だ。ほらほら、紳士淑女の皆様方も野次馬とははしたない。お部屋にお戻りください!」

警備兵が野次馬を追い払いながらが近づいてくる。

「ごめんなさいっ、ピルルちゃんを探さないといけないの!」

ここで連れ戻されたら、ずっとピルルに会えなくなってしまう気がして。レナは脱兎のごとく逃げ出した。

「あ、待ちなさい!」

警備員の咎める声を背に、振り向く事無く走る。走って、走って。そして、走り続けるうち、いつの間には辺りの喧騒は薄れ、1等客室のある3階フロアに来ていた。貸切となっている1等客室のVIPたちは、そのほとんどがサロンに集まっていたようで、他のフロアとは打って変ってガランとしている。

工房博でも見ることが出来なかった、初めて歩くフロアを緊張した面持ちで進むレナ。

すると、通路の先で不安そうに床すれすれをうろうろと飛ぶピルルを発見する。

「よかった。ピルルちゃん、こんな所にいたのね」

安堵の息をついて駆け寄るが、

「きゃっ」

「うわっ」

見晴らしの悪い十字路で、飛び出してきた誰かとぶつかって転倒してしまう。

「いたたた。ゴメンなさい、わたし、慌ててて…」

身を起こして相手を見ると、身なりのいい少年が尻餅をついて座っていた。

年の頃はレナと同じか少し下だろうか。おっとりした顔に涙を浮かべている。

「ボクのほうこそ、よそ見してて…ごめんなさい…」

消え入りそうな声で謝る。レナは起き上がるとニコッと微笑んで手を差し伸べる。

「あ、ありがとう…」

そう礼を言って手を伸ばした少年の顔が引きつる。

「あ…あぁ…」

少年が怯えた目で見つめる先には…先ほどの転倒騒ぎでレナの存在に気づいたピルルが飛び寄ってきていた。


少年ルイセは、過去の出来事から野生機械に恐怖を抱いていた。ピルルの目が、過去に裏切ってしまった自分の野生機械の目と重なってゆく。ルイセの目に映っているのはピルルではなく、漆黒のエイ型野生機械「エルム」だった。エルムの目が怒りに燃える。自責の念でエルムの目を見ることが出来ず視線を逸らす。それでも赤い目がじっと自分を見据えている気がして震えが止まらない。』


「どうしたの?」レナは戸惑った様子で首を傾げる。

「う…うあぁっ!!」

忍耐の限界を超えたのか、少年は悲鳴を上げながら、尻餅をついた姿勢のまま身を翻して、立ち上がる余裕も無く、這いながら、躓きながら懸命にピルルから離れようとする。

カラン、と小さな音を立てて、少年のポケットから何かが転げ落ちた。だが、そんなことには気づかない。「あ、あの…」少年の只ならぬ様子に気おされていたレナが恐る恐る呼び止めるも、少年は既に体制を立て直して走りだしていた。「落し物…」静かな回廊に、少年の足音が響いて消えた。

少年の落した『何か』は、まだゆっくりと転がっていた。コロコロと転がって、コツンと壁に当たって止まる。「キュィ!」壁際に止まったそれをピルルが追いかけて捕まえる。

あっけに取られて佇んでいたレナだったが、ピルルの声で我に帰る。「そうだ、ちゃんとあの子に落し物届けないと」

ピルルの元に歩み寄り、しゃがみ込んで落し物を受け取る。

「…綺麗」

それは深紅の玉だった。ガラス球なんかでない。それが何かは解からないが、とても高価で大切なものだろうという確信があった。「宝石…かな。無くしたって知ったら悲しむよね。追いかけないと」

「宝石~宝石~、姫のキラキラー♪」

「え?」独り言に誰かが答えたようなタイミングにビックリして、立ち上がる。

「ちょっと、姫。なんでそう勝手に出歩くかな。怒るわよ」「いーじゃーん。スコールちゃんは先行っちゃったしー。間に合わないんだからもう同じよ。うふふー」「それのどこが良いのよ?ほら、さっさと引き上げるよ」「きゃー、この指輪ステキーーーーっ」「ほら、帰るの!」

半開きの扉の奥から、そんなやり取りが聞こえる。

なんだろう?好奇心を抑えきれないレナは、レナは扉の隙間からこっそり覗こうと忍び寄るが…、

「ヒエッ」

扉の奥の人物とうっかり目が合ってしまい小さく悲鳴を上げる。

部屋の中で宝石箱を物色しているのは、極彩色のオウムと動きやすい純白の衣装を身にまとった美女。

「あ、え…えっと…」どうしていいか解からず口ごもる。このまま扉を閉めて逃げ出そうか?いや、追いかけられたらどうしよう。

あれこれ考えを巡らせるレナだったが、ふとある事に気づいた。「あれ、どこかで会ったことがあるような…」怖いのも忘れてまじまじと見ていると、

「はろん」

軽い調子でそう挨拶をしながらオウムが手(羽)を振ってきた。

「何をにこやかに挨拶してんのよっ!」

ドロボウのお姉さんが、ぽかりとオウムをたたく。そのコミカルなやり取りを見て記憶の糸がつながった。

「あーーーっ、劇団のおねーさん!!えぇっ、どういう事なの!?悪いことするような人には見えなかったのにっ」

何が何だか解からなくなって、ついつい扉をバタンと開け放って大声を上げていた。


レナの声に気づいたのか、「やっと見つけた!危ないから早く部屋に戻りなさい!大人のいう事は…」セーツィ号1等客室の入り口に立ちつくすレナの後ろから、息を切らせた警備兵の声が迫ってきた。その声に反応して、ティーエは素早く部屋の窓を開けて窓の縁に手をかける。「あっ」小さく声を上げてレナはルリエに飛びついた。飛び降りるのを止めようとしたのか、逃げるのを止めようとしたのか、自分でも解らない。ただ、必死にルリエにしがみついた。「お姉ちゃんはドロボウさんなんかじゃないよね?」

純白の衣装を着こなした美女は少女の必死の訴えに一瞬、動きを止めて、胸元にしがみ付くレナの顔を見る。しかし、それだけだった。「ドロボウじゃないわ。怪盗よ」さらりと言って微笑むと、「レナちゃん、行くよ」ルリエはレナにはお構いなしで、レナを抱きかかえて一緒に窓からダイブした。

「えっ!?」

レナの顔に動揺が走る。

ここは3階だ、落ちたら只ではすまない。

「地面にぶつかる!」

と思ったが、次の瞬間ふわりと上昇する感覚に包まれる。

ティーエとレナは、大きなトンボ型の野生機械に抱えられて空を飛んでいた。



人ごみの中、レナを追いかけるも見失ってしまったルークとプーグルーグは、窓越しに、フラフラと危うげに飛ぶ南国色の怪盗団の野生機械を目撃する。「あんなおかしな飛び方…なにかあったのかな」よく目を凝らして見てみると、そこには野生機械に抱えられたレナの姿が!

と野生機械が不意に失速した。猛スピードで、レナを乗せたまま、こちらに向って墜落してくる。「危ない!!」ルークが叫んだ。しかし、地面に激突する寸でのところで持ち直す。地面スレスレを滑るように砂煙を上げながら飛び、今度はセーツィ号にぶつかる直前で機首を上げる。野生機械はセーツィ号の壁面を伝うように高速で駆け上がった。

セーツィ号の中で見るルークの目前を通過する野生機械。風圧で砕ける窓ガラス。

「!!」ルークとプーグルーグも風に圧倒され、床に倒れる。

転げるようにして、慌てて起き上がったルークが「レナちゃん!!」割れた窓から身を乗り出して叫ぶも、とうに野生機械は上空高くにあり、その声は届かない。

「じいちゃん!レナちゃんが、レナちゃんが!!」すでに空の点と消えようとしてるレナの姿を追って、転げるように車内の通路を駆け抜ける。しかし、ルークが後部ティラスに着いた頃には、レナの姿はすっかり見えなくなっていた。



そして、レナがさらわれるのを格納庫の開け放たれた上部ハッチ越しに目撃していたのがもう一人。プーグルーグ博士作の大型全自動掃除機:ゴンパパだった。

ゴンパパはレナの一大事を目撃して蒸気エンジンに火を入れると、タコの足のようにくねくねと曲がるアタッチメントアームを器用に使い壁をよじ登って、自主的に格納庫を大脱出。後部ティラスで途方に暮れるルークとプーグルーグに手(塵取りだったが)を差し伸べた。

「え、何?」

差し出されたちりとりを前に要領を得ないルークに、フシューと蒸気を一噴きして不満を表すゴンパパ。早くしろと言わんばかりに二人を担ぎ上げ、猛ダッシュで走り出す。進路はレナを連れ去った野生機械が消えた方角、南東。

「そうか、名前を付けてくれたレナちゃんに恩返しをしようと言うんじゃな」ゴンパパは同意と言うように蒸気を噴いた。

「それはいいけど、荷物何も持ってないですよ、親方ぁぁぁー」「案ずるな、エッグサーバー3号は肌身離さずもっておるぞ」

「そんな物使いませんってば!うわわわぁああ、もっとスピード落としてぇぇえっ」

ルークの悲鳴をかき消す様に砂埃を巻き上げて、ゴンパパは陽炎漂う荒野に消えていった。




冒頭のシーンをルーク目線でおさらいして、物語は次回から新たな局面に入っていくのです。

よかったらぜひとも評価をー。

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