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レナ・レイントン10歳は、1ヶ月程前にここ、丘の交易都市とも呼ばれるヨークレー市に引越してきた。そして、2週間ほど前にここ、プーグルーグのカデン工房でプーグルーグと弟子のルークに出会ったのだ。
レナは、誰とでも話してみて仲良くなろうとする事。自分にとって大切なものには名前を付ける事。その2つを大切に守ってきた。
誰とでも話してみるのは、父の仕事の影響だ。動物学者として、様々な土地を流転する生活だったので、その土地で出会う人に自分から話しかけないと交流のできないままお別れになってしまう。「それでは寂しいだろう?」父親にそう言われて、お別れの寂しさよりも知らないままの悲しさの方が嫌だ。そう考えて誰とでも積極的に話してみる事にしたのだ。
大切な物に名前を付けるのは、母親の影響だ。鉛筆・消しゴム、ぬいぐるみ。全ての大切な物に、母親は『レナ』と、名前が入ったシールをつけてくれていた。それと同時にレナはみんなに名前を付けていた。「レナ、新しいコップよ。お名前をつけましょうね」母親はレナの名前シールをペタっと貼って、レナは「ウッディにする。よろしくね、ウッディ」と木製のコップに名前を付けるのだ。単なる勘違いから始まったそれは、本来の意味以上に物への愛着を育んだ。だからこそ、それに気がついた後も母親は止めなかった。
そう、この2つを守ったからこそ、博士やルークだけでは無く、ゴンちゃんをはじめとする沢山のカデンたちとも仲良くなれたのだ。
最初に博士のカデンを見たときは、なんだか皆他人行儀だったし、疲れ切っていたように感じた。博士がなにかお願いをしても、彼らは動きたくないような様子で『やりたくなったらね』とでも言いたげにブルンとエンジンを鳴らして止まってしまうのだ。
その時、レナは博士が呼ぶカデンたちの名前に驚いた。だって
あまりにも機械的に付けられていたから。
「プーグルーグ式全自動掃除機。だなんて、博士やあたしが、野生の人間。って呼ばれるようなものだよ」
「いやいや、全自動掃除機12号じゃよ?12号」
「それなら、レナは、野生の人間 三女?」
「そこまでぶっきらぼうじゃったかのう」
弱り顔で頭をかく博士を横目に次々とカデンたちに名前を付けていく。
「…ケールくんに、ジュンちゃん。そして、最後に。うん、ゴンちゃん」
名前をもらったカデンたちは、ブルルンと嬉しそうに次々とエンジンをふかしたり、カチャカチャと腕を振り回したりと大いに盛り上がった。
そして今日も、イヤイヤする博士の機械にレナが優しく話しかけると、すんなりと動き出す。すると、レナは笑顔で「偉いね」と、褒めてあげるのだ。そして恒例のようになった「よくできましたシール」をペタリと貼ってあげる。機械は並べて貼られたシールを勲章のように誇らしげに見せつけながら一層饒舌になった駆動音をリズミカルに奏でる。「フム。レナセレクション3週連続金賞じゃな」博士が満足そうに、一人つぶやいた。
こんなほのぼのノリどーなんでしょう?
SFとは?!
気に入ってくれたらレナセレクション下さい!




