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それから、旅行が待ち遠しくて待ち遠しくて、暑い日が続いた。そろそろ夏休みが始まる。
今日は魔女の喫茶店というカフェテラスで冷たいものを飲みながら涼もうとアリサから誘いを受けてやってきた。
魔女喫茶店はその名の通り、魔女が住んでいそうな古びた木造の建物で庭はハーブ畑になっていて、目につく限り緑に覆われている。店の中もところ狭しと刈り取ったハーブが吊るされて干してある。ハーブの香りが充満して爽やかな気分にさせてくれる。
「何の香りだろう。あたしこの匂い好きかも」
「ふーん、今の季節ならカモミールかジャスミンじゃないかしらね」
アリサが解説してくれる。探検の一件以降、アリサは角が取れて丸くなったと言うか、付き合いやすくなった気がする。
「そんなに香りが気に入ったのなら、カモミールティーかジャスミンティーにしてみたら?」
「うん、ありがとう。そうしてみる。甘いのはどっちかなあ?」
「そんなの、お砂糖を入れればどっちも甘くはなるわ。でも、カモミールは最初からハリミツとかが入ってるから飲みやすいかもしれないわね。」
「じゃあカモミールにする」
「わたくしはジャスミンをアイスで頂こうかしら」
「すみませーん、注文お願いします。」
レナが元気よく声をかけると奥から魔女の格好をした女性の店員さんが出てきて妖艶に微笑みかけてくれる。
「いらっしゃーい、なににしましょうか?」
「カモミールティーをひとつ」
「わたくしはアイスジャスミンティーを」
「かかしこまりました。カモミールはホットでよろしいですか?」
「えー、今日は暑いから冷たいのがいいな」
「そう言われましても。暑い日にホットを飲むのは粋ですよ」
「え、そうなの?なら温かいのでいいや」
「かしこまりました。すぐにご用意いたしますね」
「レナさん、あなたって単純ね⋯」
アリサが呆れた顔を向けてくる。
2人はドリンクを受け取ると、外のハーブ畑にあるテラス席に足を伸ばした。木陰で涼しい風に吹かれながらゆっくりとお茶を楽しみたかったのだ。
しかし木陰の席には先客がいた。「あらアリサちゃん。一緒にお茶しない?」
先客の女性はアリサに気がついて気軽に声をかける。
「ルフィーアさんじゃないですか。戻っていたんですね、お久しぶりです」
アリサも先客の女性に挨拶をする。
「先ほど戻ってきたのよ」
「ねえ、お姉さんの横にいるこのコはだあれ?」
女性の傍らで丸くなっているキコウを指さしてレナが尋ねる
「お目が高いわね。この子は私の相棒で草原ダチョウのティリーくんよ。」
ルフィーあの傍らで丸くなって休んでいたキコウの背中を優しく撫でながら紹介する。すると撫でられたキコウは満足そうに体を震わせて、ゆっくりと立ち上がった。
「起こしちゃった?ごめんね。」
長い立派な逆関節の2本足。流線型の筒型胴体には鞍がのっている。大きなヘッドライト型の目が特徴の大きな野性機械だ。
この人はルフィーアキャリーさん。ダチョウに乗って
大手がサービス外の小さな村々を回って郵便を届けているの。誰が呼んだかダチョウの郵便屋さんよ。
アリサが補足をしてくれた。
「ルフィーアおねーさんね。はじめまして。あたしはレナ・レイントンって言います。アリサちゃんとはクラスメイトでお友達です!「あれっルフィーアさんも粋ですね!」
テーブルの上にあるカップからほのかに湯気はのぼっているを見つけてそう声をかけた。
「え、なに?」
「暑い日にホットを飲むのが粋なんだって。さっき店員さんが言ってたものだから」
アリサがまたしても補足を入れてくれた。
「私は単に冷たいものが苦手なだけで⋯」
「ピュイイイ」
ピルルがポケットから出てきてティリーに挨拶をする。
「まあ、珍しい。キコウの赤ちゃん。この子はどんなオトナになるんだろう?」
「ルフィーアおねーさんは知ってるの?」
ええ、以前に見たことがあるの。草原ダチョウの子だったけど、確かこんな感じだったわ。どのキコウも幼体の頃はそんなに変わらないっていうのは本当なのかもね。
「レナちゃんも一緒に休んでいかない?」ルフィーアに誘われるままにテーブルにつくレナ。アツアツだったカモミールティーも飲みやすい温度になっている。
日差しがぽかぽか良い気持ち。ティリーくんも再びルフィーアの傍らで寝そべっている。
「ねぇ、レナちゃんはどこでピルルちゃんと出会ったの?」
ふわふわ飛んでるピルルを指差し尋ねてくるルフィーアに、レナは少し考え込んで一言
「んんー…道端で拾った」
「拾った…って」
笑うルフィーアに、今度はレナが問いかける
「ルフィーアおねーさんは?」
「えっと、それはね」
…こうして思い出話が始まる。




