第64話 ステータスお披露目会
俺はベガが話を始めた時、チサを寝かしたままだったことを不意に思い出す。そう思い出したのだ。その瞬間、俺の五感全てがチサへと向かってしまいベガの声など耳に入らなくなっていた。
そして、説明に集中するベガを置いて、チサの元へと向かう。
そして、チサを抱え上げた時俺は驚く。
俺が戦ってユキグマを片付けていたのは時間にして、十分にも満たない時間ではあった。
それでも、普通なら冷たくなっていてもおかしくは無い。だが、チサは、全く冷えたような様子はなく暖かいままだった。
俺が抱え上げた時、チサが目覚める。
「ん? ジンか。まさか妾、笑いで体力を使い果たしてしまうとは不覚じゃった。ジンよ。すまなかったの。もう大丈夫じゃ。」
「チサ。ずっと雪の上で眠っていたのに寒く無いのか?」
「ジン。何を今更なことを聞いておるのじゃ。妾は首長竜じゃぞ。深海はこんな場所よりも何倍も寒いのじゃ。ちょっと雪の上で寝たくらいでどうにかなる妾では無いのじゃ。それよりも、ジンと少しではあっても離れたのを感じた時の方が寒かったのじゃ。」
そんなことを言うチサに俺は照れる。
「そうか。」
そう短く返事した俺に話を聞こうとしたが、チサとの話に夢中になっていた俺に何処か懐かしい語尾の上がった奇声が響く。
「首長竜ッ......!!?その少女、竜なのカッ......!?」
「ああ、ベガ。すまん。忘れてた。」
「妾はもう大丈夫じゃ。この滑稽な喋り方にも慣れたのじゃ。」
「忘れるんじゃなーイッ! って違う。その少女...チサだったカッ。竜と言ったナッ。それは本当なのカッ!!??」
「あー...。聞こえてたのか。これからもこうやって聞かれるのも面倒だし、お互いステータスウィンドゥ見せあっておくか?」
「ジンよ。話しておらなんだのか。だがまあ周囲の様子を見ればそれも仕方ないのかのう。」
周囲は夥しい数のユキグマの血痕と雪で、赤と白のコントラストが鮮明に表現されていた。
「ジンにとってこやつは信用に値するのかの?」
チサはそんなことを聞くので俺は答える。
「ああ、大丈夫だ。もし信用できないようなやつなら、俺がユキグマと戦っているときにチサや俺に向かって攻撃してきた筈だ。そんな素振りも一切無かったし大丈夫だろう。」
「ジンがそう言うのなら、妾としても問題無い。まあこの語尾はなんとかしてほしい所ではあるのじゃが見たところ呪いの類であろうしの。」
俺はチサがどうして呪いのことが分かったのか不思議に思う。ベガがそれを明かした時、チサは完全に眠っていたからな......。
そんな風に思いながらも俺は聴くのを辞める。今それを聞けば、話が進まないのは目に見えていたのだから。
「ベガはそれでいいか? 俺たちの素性を明かす以上は、この大陸にいる間、ガイドの様な役割をしてくれると助かるのだが。」
「わかっタッ。私も得体のしれない奴と一緒に居るのは嫌だからナッ。」
まずはベガにステータスウィンドゥ見せてもらうことにする。
「俺たちのを見たら、驚いて多分動けなくなるかもしれないから、先に見せて貰ってもいいか?」
「あアッ。とはいえ、あの戦闘を見せられたら、もう驚くことは無いと思うけどナッ。」
そう言うと、ベガがステータスウィンドゥを開示する。
名前:ベガ lv:82 年齢:36
身長183cm 体重102kg
称号:不屈の闘士
技能1:耐久力倍加 技能lv:10
技能2:復帰性能増加 技能lv:10
状態:わろし
ステータス(評価)
力:162(B)
魔力:0/0(G)★
耐久力:150+150(S)★
敏捷力:100(D)★
精神力:242(S)
体力:15/150★
総合:954(B)
......思った以上の脳筋ステータスで俺は内心で驚く。いや......。魔力ゼロって初めて見たぞ。
「フッ......! どうダッ。私も中々のものであろウッ。まあ、この馬面の呪いのせいで魔力が0になっちまってるから技が使えないのは残念なところはあるがナッ! その分こうして努力して他を鍛え上げたというわけヨッ!」
そう得意げに語るベガを見て俺はなんと言ったらいいのかわからない。
(無の大陸の大佐よりは強いな...?うーん。伝わらないね。フォレストアントのクイーンには負けてるし、深海のモンスター相手でも怪しいな。確かに普通の人間として考えるなら十分凄いんだが。)
「ああ、たしかに凄いな。なあ、チサ。」
「ん? ああ! 妾も凄いと思うぞ!」
「フッ......! そうだろうそうだろウッ! まずこの称号だが―ッ。」
ベガの話が相当長くなったので割愛するが、要は、この大陸の闘技大会で優勝すれば、【不屈の闘士】という称号が手に入るんだそうだ。
そんな話を聞き終えた俺たちは、俺たちのステータスを開示することになる。
「じゃあ俺たちのを出すが準備はいいか?」
俺の問いにベガは唾を飲みながら答える。
「......あアッ。」
ベガの返事を聞いた俺はチサに合図する。
「いくぞ。チサ。」
「わかったのじゃ。」
俺とチサはほぼ同時にステータスウィンドゥを表示する。
名前:ジン lv:195 年齢:22
身長162cm 体重57kg
称号:気配遮断の達人
技能1:気配遮断 技能lv:20+10
技能2:自動回復 技能lv:10
技能3:不死身 技能lv:ー
技能4:インベントリ 技能lv:ー
技能5:テイミング 技能lv:ー
状態:良し
ステータス(評価)
力:100(D)★
魔力:200/150+100(S)★
耐久力:290(S)★
敏捷力:260(S)
精神力:325+300(SSS)★
体力:243/223+50(S)★
総合:1798(S)
名前:首長竜チサ(人間形態) lv:186 年齢:不明
身長112cm 体重32kg
称号:なし
技能1:水陣 技能lv:20
技能2:魔力置換 技能lv:10
技能3:同一化 技能lv:ー
技能4:分体 技能lv:ー
状態:良し
ステータス(評価)
力:50(E)★
魔力:500/500(SSS)★
耐久力:100(D)★
敏捷力:400(SS)★
精神力:250(S)★
体力:200/200(A)★
総合:1500(S)
「ナッ......。ナッ......。196に、186......だトッ
......!?」
そういうや否やベガは衝撃でその馬面から泡を吹いて気絶してしまった。
俺はいちいちオーバーリアクションな奴だと頭を抱えるも、話が進まないので、周囲の雪を掻き集めると、泡を吹く馬面の口の中へと流し込むのだった。
というわけで第64話でした。この流れに持っていきたかったのもあって、第二章の紹介話の最後のステータス部分を書かずに取っておいたのです!
と、忘れ去られているであろうことのお知らせをしておきます。今からさささっと更新するので、良ければ明日にでも、第0章の方見ていただければなと思います。
では、第65話でまたお会いしましょう!
20/12/3




