第48話 追跡!フォレストアント
俺はチサを肩に乗せたまま、世界樹の結界の外に出る。そしてフォレストアントとブラウンエルフ達が戦う合間を縫って例の指揮官フォレストアントの倒されたポイントへと移動する。
「普通のフォレストアントも大概だが、こいつは....デカイな。」
ここに横たわる指揮官フォレストアントの大きさは約3m。大きさで言うなれば、一階建ての平家と遜色ないほどだ。
「大きいのう。妾蟻とやらは初めてみたが全部がこんなに大きいのかの?」
「そんなわけ無いだろ。普通の蟻はこんなもんだ!」
俺は親指と人差し指で小さな隙間を作ってチサに見せる。というかこんな蟻が大量に居たら普通の人は生きていけねぇよ!
と心の中でツッコミを入れる。
「妾、通常サイズの蟻とやらも見てみたいのう。話によると綺麗な列を作るというではないか。こやつらはこやつらで軍隊の様で面白くはあるがの。」
そんな話をしながら周囲を見渡すと、慌てふためいているフォレストアントの小さい個体が何匹かいる。小さいと言っても1m前後の大きさはあるのだが。
「人もモンスターもこういうとこは変わらないんだな。指揮官が倒れれば一気に瓦解すると言う意味では。」
俺も少しばかり戦争に参加していたので知っている。指揮官を失った部隊がどういう末路を辿るのかという部分について。その辺りはひとまず置いておこう。
「ジン殿にチサ殿で間違い無いか?」
そんな考えにふけっていた俺に一つ声がかかる。
振り返ってみるとそこには20名ほどのブラウンエルフの精鋭が集まりつつあった。
「ああ間違いない。」
「うむ。妾はチサなのじゃ。」
そうこれから今回の作戦の肝でありかつ最も危険度の高いフォレストアントの追跡が始まるのだ。
「まだフォレストアント達はウロウロして北へ向かわないが大丈夫なのか?」
俺は俺に声をかけて来たブラウンエルフの男にに尋ねる。ちなみにこの部隊のブラウンエルフは皆男だった。
「とりあえずは問題無いかと。もう少ししたら、移動を開始するでしょう。今までの傾向からいえば。」
「この状況になったことがあるのか?」
「ええ。それはもう数え切れないほど。ただ、一度我々の中でも1、2を争う実力者の2人が追撃から帰ってこなかったことを機に今まで過度な追撃はできていないのです。お陰でこの先は何が起こるかわかりません。」
そう言うブラウンエルフに俺は頷きだけを返す。
そして指揮官を失ったフォレストアントを見るとなんと皆が揃って北へと移動を始めたのだ。
「始まったな。では気付かれない様に追うぞ。」
ブラウンエルフの指揮官の言葉を合図に尾行が始まる。俺とチサはブラウンエルフ達の後ろをついてゆくことになった。
こうして1時間、2時間、3時間.....12時間が経過し、夜が来る。だが、奴ら全く休むこともなく北へ北へと進んでゆく。
ブラウンエルフの精鋭達と共に俺もまた歩いてゆく。チサは途中で寝てしまったので肩から腕へと滑らせてチサを抱きかかえて歩いてゆく。
だが、ここで俺は一つの疑問に思い至る。
「そういえば、この大陸に来てから、フォレストアント以外のモンスターや生物をみたことがないな....。人とブラウンエルフは別として。」
「それは我々にも分からない。あいつらによって食われたのか、何処かへ逃げたのかは。ただ、いくら数がいるとはいえ、あいつらが現れた瞬間に皆、姿を消してしまったので、本当の原因は....。」
そんな会話をするも、数十m後ろを歩く俺たちの気配に気付かないフォレストアントはただただ、北へと歩き続ける。そして2日が経つ。
「流石にこれはまずいな....まさかフォレストアントはここまで移動し続けられるとは....。これ以上の徹夜の行軍は我々でも流石に厳しいぞ。」
たしかに何処にあるかも分からない場所までずっと徹夜でフォレストアントの跡をつけるのは精神的にも体力的にも厳しい。
俺は一つ提案をすることにした。
「なあ、お前ら、半分くらい眠らないか?半分が眠って、半分が背負うんだ。その間は俺の技能でフォレストアントから隠すと言うのはどうだ?」
「本当にそんなことができるのか?」
「ああ。問題無い。それに俺は技能のお陰で多少眠らなくてもパフォーマンスに影響は出ないからな。」
ブラウンエルフの指揮官は、少し悩むと諾という返事を返す。このまま徹夜行軍を続ければ、敵の本拠地に着く頃にはほぼ動けないだろう事は簡単に予想できたからだろう。
そうして、指揮官は精鋭達にペアを組ませ、3時間毎に交代で睡眠を取るよう指示を出し、ブラウンエルフ達もそれに従う。
それに伴ってジンが気配遮断をブラウンエルフ達へと発動するのだった。
こうして更に5日後、世界樹から1000kmほど北へと離れた地に入り口が5m程もある巨大な洞窟があり、その中へとフォレストアントが入ってゆくのを確認する。
「なるほどのう。ここが奴らの住処かの?少なくとも洞窟の入り口の大きさ奴らが出入り出来るほどの大きさはある様じゃ。」
「とにかく入ってみないことには何も分からなさそうだね。」
俺とチサは口々に言う。
「本当はじっくり調べてからこの中へ入りたかった。だが、この6日間の強行軍で、皆が疲れ切っている。ここはこれだけの戦力が揃っている。さっさと相手を片付けて帰るぞ!」
そう言う指揮官の言葉に俺達は了解の返事をする。
俺は無灯火でも良かったが、ブラウンエルフ達は駄目な様で、光の技能を持ったブラウンエルフが洞窟の中を照らし出す。
こうして俺達は洞窟の中へと入ってゆくのだった。
第1話(改稿版)投稿しました!旧1話と比べて文字数の削減と主人公の語りの調整でかなり読みやすくなったとは思っているのですが....。
気が向いたら読んでみてくださいね!
では第49話も引き続きよろしくお願いします!
20/11/27
これから先が気になる!面白い!と思えた方は是非是非評価とブックマークをよろしくお願いします!




