未解決問題
これで解決なのかもしれないけれど、なんか釈然としないと言うか、これでいいのかなとも思うっていうか。もう保健室の先輩二人は二人でどうぞって感じで俺と早瀬さんは保健室を出た。まあ、これで依頼は終わったのか。俺が階段滑り落ちそうになった原因も……あれってなんだったんだ? さすがに和泉先輩が俺になんかする必要性ってないよね、それに、あの消しゴムは。
「あれは藤村さんに言われてゴミ収集場で見つけた」
和泉先輩からの依頼があって後、どのタイミングで藤村さんと連絡を取ったかは知れんが、あの時間に訪問したのもアポなしってわけでもなかったのか。
本校には焼却炉はない。ダイ……ダイ、つまり環境問題の関係で学校ではごみを焼かないようにしているのだ。とはいえ各クラスからゴミが出る。ひとところに集めて置いて、ゴミ収集車が回収していく。その一角で拾ったと言う。自主的なボランティア活動みたいになっていたからな、呪いの現物調査。まさに大半がゴミ拾いになっていたから、ゴミ収集場に立ち寄ってのもその一環だと思っていたのだが。
「呪ったのが誰なのか見つけに行くぞ」
いや、それはもう終わって。あれ、消しゴムに細工したのは和泉先輩じゃないってことは、確かに和泉先輩が一服盛って症状が出たのは出たが。おい、早瀬さんもしかして、
「呪いのせいかどうかの判断を下したつもりはない」
そういえば、藤村女史が答えたのも和泉先輩が橘先輩を呪ってないってことだけで、他の人がそういうことをした可能性もあるってことか、なら聞けよ。そしたら、こういうまどろっこしいことしなくても。いや、それならそうで藤村女史に橘先輩を呪ったのが誰か聞くのが手っ取り早くかつ効率的だとは誰しもが思うことなのでは。
「いや、質問をしたのが俺だからだ。橘が藤村さんに直接聞いたわけじゃない」
あ、そうか。橘先輩は、体調不良を和泉先輩の一服を承認していたからそれのせいだと思っているから、まさか呪いとかでないと思って……あれ? じゃあ、なんで和泉先輩が早瀬さんのところに来るのを止めなかったんだ?
「噂が広がりすぎたからだろ」
噂に背ひれ尾ひれがついてしまって、それで……早瀬さんに来るか?
「俺だからだろ。俺絡みにしてしまえば、あまり周りがタッチすることはなくなる。少なくとも声の沈静化にはなる」
それで早瀬さんはいいのか?
「二人がちゃんと向い合ったんだ、それはいいのではないか?」
すっきりしたわけでも、まだ釈然としない感があるわけでもない、いたって平常通りの声のトーンとその表情に、俺はどちらかと言えば感情抑制の呪いでもかかっているのではないかとさえ思えて肩をすくませた。




