密会?
早瀬さんはマンションの一室のインターフォンを鳴らした。神社の藁人形でなくとも、追ってる 俺も十分怪しいだろうなと思いつつ、早瀬さんが情報収集にまだまだ歩くのかと思ったら気になるし、そうでなく実際に帰るのなら、早瀬宅を見ておくのも興味本位でいいだろうと思った。が、どうやら後者ではない。なぜなら、
「おう。晶、入れよ」
玄関を開いたのはやはり三〇代の女性だったからだ。よもや派遣ホストのバイトでもしているんじゃないろうな、いや、てか部屋入ったら俺どうしようもねえな、と今更を思っていると、
「駅前からお前つけてるのがいるだろ、そいつも入れろよ」
女性にはばれてる。なぜ?
「いや、駅前で別れたのはいますが、そいつは」
「お前つけてきてんだって、ほら、そこ」
その代名詞の使い方は明らかに俺の方を指してすよね。このマンションいたるところに監視カメラを設置しているのかな。一応天井を見たけれど、どこにもそれらしいものはない。ゆっくりと頭を出し、目を出し、確認。やっぱりこっち実際指してるし、見てる。しかも早瀬さんも。どうにも間の悪いのを誤魔化すつもりの表情を作ってるつもりで進むと、
「真白、あきれたな」
はい、すいません。弁解の余地ありません。
「マシロ君とやら、ほらそんなところにいると不審者&近所迷惑、早く入んな」
気風の良い歯切れに従うしかなく、俺は見ず知らずの早瀬さんの知り合いのマンションに入った。




