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スナイパー!

心地良い朝日を一身に浴びて、僕はこの国一番のプレイボーイになる為に今、街に繰り出しているんだ。


通勤、通学途中の人達が僕達に熱い視線を投げ掛けて来るんだ。

マークったら、いつもと格好が違うんだよ。いつもどうり学ランは着てるんだけど、お髭を全部、剃ってしまったんだ。しかも、凄く濃い眉毛を油性マジックで書いて眉間に皺まで寄せてしまっているんだよ。それから特注で、アーマライトをベースにして作らせた水鉄砲まで持ち歩いてるんだよ。その水鉄砲を作るのに四時間掛かったんだけど、ちゃんと『デイブ、ありがとう……』とか言ってたから、大丈夫だよね。


「私の名は、マーク・東郷だ……」


マークが水鉄砲を構えて、渋く決めてるんだ。

なんだか、凄腕のスナイパーみたいで、とってもカッコイーよ!

どうやらマークは、僕の家で読んでた漫画が大層、御気に召してたみたいなんだ。


「分かったよ、ミスター・ゴル……

ミスター・マーク・東郷……」


獲物を見つけたマークが、無表情のまま人差し指を口に含み、その指で風を調べる。


「風速一メートルって所か……」


風を読んだマークは、地ベタに這い蹲って、息を潜めながらスコープを覗き見て狙いを定めてるんだ。

えっ、あの人十メートル位しか離れて無いよ?

そうか、流石に超A級スナイパーともなると、あの距離でも風の計算に余念が無いんだね!


「うわっ!?」


マークによって股間を狙撃された道行くサラリーマンが、驚きの余りに細く甲高い悲鳴を上げる。

まるでお漏らししてしまった様に見えるサラリーマンが、股間を両手で隠しながら、がに股で此方に近づいて来たんだ。

顔を完熟トマトみたいに真っ赤にしながら怒ってるのに、とっても情けなく見えるよね!

あれって、恥ずかしがってるのかな?



「なんて事してくれたんだっ!

私は今から仕事があるん、だ、ぞ……」


「……」


立ち上がったマークに、無言の圧力を掛けられたサラリーマンは、忽ち顔を青白くさせてしまったんだ。

何処か具合でも悪かったのかな?


「す、すみませんでした!

どうやら私の勘違いだったみたいで、あははっ……それでは失礼!」


サラリーマンは股間を抑えながら、何処かに走って行ってしまったんだ。

なるほど、トイレを我慢してたからあんな顔してたのかっ!


それからマークは、十一人もの、サラリーマンやら学生さんやらの股間を撃ち抜いたんだ。此処まで一回も玉を外してないんだよ。

狙った獲物は逃さないなんて、流石プロだね。


「!」


マークがまた獲物を見つけて水鉄砲を構えたんだ。だけど、マークの右手がブルブルと小刻みに震え出してしまったんだよ。


まさか! ギランバレー症候群と言うやつなのか?


「眩しくて見えない……」


マークが薄目で見ている方を、僕も見ると、頭から神々しい光を放ち、巧い具合に顔だけ見えない、マークと同じ学ランを着た男が此方に歩いて来てたんだよ。


「マーク、大丈夫なの……?」


僕が、マークを注意深く観察してみたら、マークは声を殺して笑ってたんだ。

冷静沈着って言うキャラで行くんじゃなかったのかよっ!


「マークじゃないか!」


近くに来たマークの知り合いらしき人は、近くに来ても、何となくしか見られないんだ。僕が分かった事は、異様に大きな鼻をしてるって事だけだよ。


「私を失明させる気か!

このデカっ鼻っ!」


マークは有無を言わさず、ワシ鼻の男を殴り飛ばしたんだ。

顎に良いのを貰い気絶してしまったワシ鼻の男の股間を狙撃した僕達は、直ぐに走ってその場を後にしたよ。


「マーク。あの人誰だったの?」


マークは走りながら、僕に渋い顔を向けて説明してくれた。


「奴の名はジョージ……

通称、ワシ鼻のジョージだ……」


あの人がジョージなんだ、ちょっとだけガッカリしたよ。


僕達は走るのを止めて、住宅街を歩いてたんだけど、その時に後ろから声を掛けられたんだ。


「ちょっと、君……」


肩に手を置かれたマークは、有無を言わさず後ろに居た警察官を殴り飛ばしたんだ。一人はそれで倒したんだけど、実はもう一人居て、その人が拳銃を抜こうとして来たんだよ。それよりも速くマークが、水鉄砲を構えたんだけどね。


「貴様! 本官達に向かって、何をするんだ!」


「プロの背後に簡単に忍び寄らない事だな……」


えっ! まだやってたの?


マークに水鉄砲を向けられた警察官は、両手を上げながらも、マークの隙を伺っていた。


「銃を地面に置いてもらおうか……

話しはそれからだ……」


「貴様! そんな事したら、本官の責任能力が問われちゃうんだぞ!

話しだけならこのままで良いじゃないか!」


マークは無表情のままで、相手を見つめる。しばらくこの膠着状態が続いたんだけど、もう一人の警察官が顎を抑えながら、何とか立ち上がったんだよ。


「ふっ、ふっ、ふっ、これで形勢逆転だな!」


マークに水鉄砲を向けられてる方の警察官がマークの事を鼻で笑うんだよ。でも、もう一人の警察官も銃に手をやろうとしたその時に、マークが身を低くして横に飛びながら、二人の股間を瞬時に撃ち抜いたんだ。


「「うっ!」」


二人が股間を抑えて怯んだ隙に、マークは僕を置いて、姿が見えない遠い所まで行ってしまったんだ。


「クソっ! なんだったんだ、あいつは……

其処の少年、君はあの男の知り合いなのかね?」


「いえ、まったく知らない人です」


僕は落ち着いた口調でハッキリと言って上げたんだけど、まだ僕の事を疑わし装に見てるんだよ。


「じゃあ何で一緒に居たんだ?

本官は不審な二人組がこの近辺を徘徊してると通報を受けたんだが?」


「道を訪ねられたので、案内してあげただけです。

困った人が居たら助けてあげろと、母にいつも言われていましたので。

……ああっ! 決して、誘拐され装になってた訳ではありませんよ!

ホントですよ!」


僕は、マークのフォローをしてあげないと悪い様な気がしたから、一応マークはそうゆう事をする人じゃないと、言っとく事にしたんだ。


「なんだって!?

君は、あの男に誘拐され装になってたのか?

あの男に脅されてそう言う様に言われたのかい?

そうなんだろ?」


僕は違うって言ってるのに、僕の肩を掴んで揺すってくるんだよ。もう嫌だ!

助けてよマーク!


「助けて……」


「分かった!

君はおじさん達が守ってあげるから大丈夫だ!

安心するんだよ」


何を言ってるんだよっ!

止めてよっ!

僕に抱き付かないでよ!

マークっ! 母さん! ナッちゃん! 僕を助けてっ!

もう離れてよっ!

僕はもう家に帰るんだよっ!


「良し! 直ぐに野郎を追うぞ!

坊主、今から家まで送ってあげるからな!」


「あっ! 自分で帰れるんで大丈夫です。

もう僕の事は放っといて下さい。

それでは、さよなら」


僕は急いでその場から逃げ出したよ。マークも助けてくれなかったし、僕は少し不機嫌だよ。


その後、僕は何とか家に帰る事が出来たんだけど、玄関を開けたらいきなりナッちゃんが、涙と鼻水で顔をくしゃくしゃにして僕にしがみ付いて来たんだ。

うっ、僕のシャツが……

あっ、違った、誰だ! 僕のカワイイ妹を泣かせた奴は! 僕が、やっつけてやる!


「おいぃちゃん、おいえあないでぇおぉ!

どおにおいっちゃぁあだぁおぉ!

」


なんて言ってるんだ……


教えて!マクギブソン


         続く

アーマライトM―16変形銃/超A級スナイパーが主に使用していた物です。

ギランバレー症候群/筋肉を動かす運動神経に障害がおきて、四肢に力が入らなくなってしまう病気だった筈です?

トルコ巻/これの特殊ブレンドをあの人が吸っていました。


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