親子!
僕達は家に帰って来たんだけど、マークはバイトがあるそうなので途中で別れてしまったんだ。少し寂しかったけど、そういう事なら仕方ないよね。
「じゃあ家庭教師ってなんだよ!」
――僕は今、少し遅めの夕食を家族揃って食べていたんだけど、母さんに今日の出来事を事細かく少し大袈裟に話してあげたんだ。
「――って言う訳で、僕がナッちゃんを助けて、侵略者から地球の滅亡を救ったんだ」
「あら〜、良くやったわね。それもこれもマクギブソン先生のお陰ね。やっぱり雇って良かったわっ」
何を言ってるんだよっ!全て僕の実力だよ!
「あのさ、母さん。僕、もう一人前になったから、マークなんて要らないと思うんだけど……」
だから学校行かしてよ。
「駄目よ!マナブはまだまだ半人前なのよ。地球を救った位で調子こくんじゃありません!
そんなの主人公なら当たり前なのよ」
えぇっ!主人公ってそんな事をしないといけないの?じゃあ僕、脇役がいいや。
「母さんは僕をどうしたいんだよ!」
ああっと、僕は此処でテーブルを叩いたりしないからね。そんな事したら二人が驚いちゃうよ。
「あなたは立派な政治家に成るのよ。そして私とナッちゃんを養うの」
別に政治家じゃなくたって養えるよ。
「嫌だよ!僕は香港に行って、アクションスターに成るんだ!」
「あなたみたいな貧弱なボディーでは無理よ。諦めなさい」
なんて事言うんだよ!この僕の輝く肋骨が見えないの?
「まったく、何の為に今まであなたに、先行投資したと思ってるの?」
「普通に育ててよ。大体母さんは、どうしちゃったんだよ。今までこんな事言わなかったじゃないか……」
僕は、母さんから渡された茶碗にご飯を装いながら、一生懸命に冷奴を箸で滅茶苦茶にしているナッちゃんを見ていた。
「マナブ。あなたには今まで内緒にしていたけど、母さんは後三年位で、ポックリ逝ってしまうかも知れないの……」
そんな事よりも、僕はナッちゃんのお行儀の方が気になって仕様がないんだよ。
「なんだってぇ!母さんは、病気なの?」
母さんが申し訳なさ装に下を向いてるんだ。
――って言うか、あんたの真似しちゃってるんだよ!ナッちゃんはっ!
これだからお嬢様育ちは嫌なんだよ。
「病気と言うよりは、運命よ……美人薄命って言うでしょ?」
大変だ!もしその話が本当なら世の過半数の人間がポックリ逝ってしまう事になってしまう。
「母さん、自分ではカワイイ系だと思ってたんだけど、取引先の田中さんによると美人だったみたいなのよ」
それは、大人の会話、社交辞令と言うものではないか!
心配して損しちゃったよ。でも取り敢えず母さんを安心させてあげないと。
「それは、昔の話だよ。今は医療技術が発達してるから、平均寿命が上がったんだ。僕の見立てによると、母さんは八十歳は軽く超えると思うよ」
「あら、そうだったの?母さんとした事がとんだウッカリさんだったわ」
ウッカリさんじゃあ、仕方がないよね。
「それなら、もう家庭教師は要らないでしょ?」
「駄目よ。あなたは政治家に成るのよ」
「どうして!」
なんで、まだ掻き混ぜてるんだよ!
「その方が母さんの鼻が高いと思うからよ。それにもう皆に自慢しちゃったのよ。マナブは母さんを嘘吐きにしたいの?」
もう既に嘘吐きじゃないか。
「ああ、マナブ。私もうお腹一杯だから、この冷奴をあなたにあげるわ」
「アタシのもあげるぅ」
なんて気立てのいい人達なんだ。
「僕も要らないよ。お腹一杯なら残せば良いじゃないか」
「マナブ。あなた何て事を言うんです。そんな事したら、大豆を作ってる御百姓さんに申し訳が立たないでしょ!
母さんに土下座なさい!」
僕は掻き回された豆腐を作ってる人達にも申し訳ないと思うよ。
「ごめんなさい」
僕はこの冷奴をどう処理すればいいんだ?
教えて!マクギブソン
続く




