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羽  作者: eiosu
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有栖川 唯 

 計は早朝4時に起きた。今日はいよいよ大原に通う初日だ。

 いつものようにまずうがいをして歯磨きをしてからアイスコーヒーのブラックを飲む。バナナを食べてからルーティンの筋トレメニューをこなす。

 それからいつものように川沿いを30分ほどスローペースでジョギングする。走りながら必ずスマホの音楽でお気に入りのロックンロールを聴く。

 今日はナインインチネイルズのThe Downward Spiral を聴いた。

 早朝の川沿いを走りながら大粒の汗を流し、黙々と走る。4月の春の空をどこか切なく、柔らかな風が計に吹き付ける。

 これからどんな出逢いが僕を待つんだろう?

 計の胸は希望で膨れ上がり、体温を否応なく高まり鼓動は今日この時に正確に刻み付ける。ジョギングを終え、家に帰り、冷水シャワーを浴び、軽く半身浴する。

 僕は生きてるんだ!そんな喜びにも似た思いが計を包む・・・・

 

 朝食をケセラと取り、朝7時に家を出る。玄関を出る間際、ケセラががっしりと計の肩を掴んだ。

 「いよいよ今日からだな。頑張るんだぞ!」

 「兄さん、ありがとう!俺頑張るよ!」

 そう言って計は家を後にした。


 神保町に着き街を歩く。ケセラと歩いたあの日と同じような、だけど確実に違う風景と風の匂い。そう刻一刻と街も僕自身も変わり続けているんだ。

 大原の水道橋校に着き、軽いオリエンテーションの後で財務会計論計算の講義が始まる。

 計はさり気なく教室全体の受講生を見回した。周りの人が皆とても聡明で優秀に見える。斜め前に座っている女子がこっちを振り向いた。そんな気がした。

 女の子はふっと計に笑いかけ、そしてまた何事もなかったかのように講義に聴き入った。

 

 「周りの奴らは皆お前のライバルで競争相手だと思えよ。」

 ケセラが計に忠告していたのを思い出した。

 だけど何故だろう?計はこの女子に対してライバル心よりも懐かしさにどこか似た親しみを感じていた。そして後から振り返った時にはそれはこの子への同胞としてのシンパシーのような感情であったことに後に計は気付くのであるが・・・・・

 後でこの子に話しかけてみようかな?・・・・


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