ある秘かな決意3
それから1時間ほど計とケセラは富永さんと面談をした。
「本日伺ったのは実は公認会計士の資格に興味があって大原の公認会計士講座を受講してみたくて、その相談です。」
「そうでしたか。当法人の公認会計士講座の説明をする前に、会様は以前に公認会計士試験の勉強経験はございますか?」
「公認会計士試験の勉強経験はありませんが、簿記の勉強ならしたことがあります。」
「ああ、それは良いですね。因みに簿記何級ですか?」
「日商簿記3級と2級は持っています。」
「なるほど。それなら公認会計士の計算の基礎はしっかり身についていると思いますよ。」
唐突にケセラが咳払いした。
「すみません。富永さん。」
「お兄様どうされましたか?」
「正直におっしゃってください。弟はこの公認会計士試験に合格できる可能性は果たしてあるのでしょうか?」
ケセラは真剣な表情で富永に挑むような目つきで身を乗り出して訊く。
富永さんは穏やかに、しかしながらとてもはっきりと力強くこう言い切った。
「大丈夫です。必ず合格できますよ。」
富永の確信のこもった言葉と落ち着いた表情にケセラは少し驚いた。
計には兄の真意は分かっている。
ただ計に幸せな未来を掴んでほしいのだ。
「その言葉が聞けて良かった・・・・・」
窓越しに射し込んだ太陽の光は少し和らぎ、面談室のブラインドを春のそよ風が微かに揺らした。
ケセラは計の横顔を眺めた。
いつの間にこんなに成長したんだろう?
鼻筋がすっと通り、真っ直ぐに見つめる青い瞳、うっすらとピンクに染まる頬。
夢中になると決まって眉間に皺が寄り、その青い瞳に鋭い光が射す。
昔から変わらない部分と変わっていった部分。そのどちらもが現在の計を構成しているんだ。
そしてケセラは本能で感じた。
「きっとこいつなら大丈夫だ。俺は計の可能性を信じてみよう。」
面談の終わり際、富永さんは計にこう言った。
「大丈夫。会さん。きちんと勉強すれば必ず結果は付いてきますよ!」
「今日はどうもありがとうございました。」
「富永さんは微笑みながら深々と一礼した。
計とケセラは面談室を後にした・・・・




