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有吉 欣二郎 先生
夏が過ぎ、9月になり秋が感じられるようになってきた。
風の匂い、風景、食べ物、通り過ぎる人の姿、虫の音、色褪せた歩道橋のペンキ・・・・そういったありとあらゆるものに次第に秋の色彩と匂いが感じられるようになってきた。
深まる秋と唯との関係。そして公認会計士の勉強の日々。そうした全てが一つ、また一つと計の中に血肉となり積みあがってゆく。
この夏の間に簿記と管理会計の講義も入門、基礎は半分以上消化した。
8月の中頃から企業法の講義も視聴し始めた。有吉 欣二郎という先生だ。
有吉先生はポツリポツリとボソボソ話すおとなしい先生だが言葉の一つ一つに含蓄と深みがあり、企業法講師としての長い経験に裏打ちされた説明には説得力があった。
そして時々冗談を言うのだが、これがあまり生徒には受けが今一つで決まって教室内はシーンと静まり返ってしまう。
たまに真顔で凄みを効かせて公認会計士試験の厳しさを生徒たちにまくし立てることもあった。
9月の空は憂いと陰りを帯びて悩める者たちのマインドにノスタルジックな想いを抱かせる。
計は隣の席の唯を有吉先生の授業中チラッと見て一つため息をついた。




