始まりのチャイム3
計はケセラの心温まるメッセージに勇気づけられた。そして誓った。
「そうだ。お兄ちゃんのためにも絶対に合格して見せる!」
それからまた計は簿記の勉強を再開した。夜は徐々に津々と更けていく・・・
その夜、計はある不思議な夢を見た。
舞台は2017年の8月の論文式試験。計は驚くほどスラスラと容易く問題を解いていく。
今までの勉強の成果がこれで報われるんだ。でもこんなに簡単にいくものなのか?問いかけは虚しく宙を彷徨い答えは還ってこない。
「起きなさい、計。」
どこかで母親の声が聴こえる・・・
「起きるのよ!目を覚ましなさい!学校に遅刻するわよ。」
計はハッと目を覚ました。まだ真夜中だ・・・・時計を見た。午前2時だ。
寝汗をぐっしょりとかいていた。冷蔵庫に行き、ミネラルウォーターを一気飲みした。喉が異様に渇いている。ゴクゴク飲み干した。それからあまりの体の火照りで暑苦しいのでお風呂に入りコールドシャワーを全身に浴びた。火照った体温が一気に下がりだいぶ気持ちが楽になった。全身が覚醒した。シャワーを終えてまた水を飲んだ。寝室に戻りまた横になった。
二度寝しようとも思ったがなかなか興奮が収まらず寝付けない。いっそ起きてしまおう。そのまま計は朝のルーティンの筋トレを始める。シャドーボクシングをしながら部屋の姿鏡で自分の裸を覗いた。程よくシェイプアップして引き締まった計の肉体が鏡に映っている。
筋トレを終えてからいつも通りに川沿いのロードに出る。まだ辺りは暗いがやはり早朝のロードは格別だ。心地よい汗が全身を伝う。今日はSimply RedのStarsを聴きながら走っている。1曲目のSomething’s Got Me Startedを聴くとテンションが上がり体が自然と軽くなる。そんな気がする。
家に帰りコールドシャワーをもう一度浴びてから今日も大原の自習室へ行く。
自習室1番乗りを確信していたが既に有栖川 唯が先に勉強していた。
「早いね。唯。」
「おはよー!計!」
唯に負けじと早速、計も簿記に取り掛かる。
二人の電卓が今日もカタカタとユニゾンする・・・・
計はこの頃メキメキと計算の実力が付いてきたことをヒシヒシと実感し始めている。テキーラからも計は本当に良く頑張っていると褒められる。計の頑張る姿は勿論兄のケセラも嬉しく頼もしく感じている。




