明の気持ち
平日の昼休み。
俺は、金崎先輩の様子が気になったので二年生の教室にお邪魔していた。
『鑑定』を掛けてみたが、体に異常はなかった。
「折本、妹の怪我を心配してくれるのはありがたいが・・・他人の事より自分の事を心配したらどうだ」
特に、先輩に会いに来る理由がなかったので、妹さんの様子を口実に様子を見に来ていた。
「自分の事?」
「お前、まさか・・・あかりに惚れたってことはないよな?そんな素振りもないし・・・しかし、あかりか」
「どうしました?」
「うーん」
先輩が何か考え込んでいる。
悩み事だろうか?
「・・・お前さえよければ、一度あかりに付き合ってくれないだろうか。多分、それで気が済むだろう」
*
休日。
先輩の妹さんと駅前の時計の下で待ち合わせた。
学生なので、あまりお金がかからない場所がいいかな。
「先輩。来てくれてうれしいです」
午前10時に待ち合わせたのだが。
約束の10分前だというのに、もう彼女は待っていた。
一体何時から待ってたんだろう。
「まだ、時間じゃないのに早かったね」
「えへ。早く目が覚めちゃいまして」
白いブラウスに、短めのスカート。
少し化粧をしているのか、くちびるが紅い。
「デートって俺で良かったのか?」
「先輩が良かったんです!あの時は、助けていただいてありがとうございました」
ぴょこんと頭を下げる。
小動物のようで仕草が可愛らしい。
「えっと、じゃあ行こうか」
「はい」
とりあえず俺は近くの公園に行くことにした。
色々話を聞いて、彼女の行きたいところへ連れて行けばいいだろう。
*** 野口 明 視点
明が休日に小学生とデートをするらしい。
相手は先輩の妹さんと言っていた。
一体どこで知り合ったんだか。
「はぁー。最近の小学生は胸が発育してるな。ぼくなんか全然無いのに・・・」
ぼくは、自分の胸元を見て落ち込む。
「誰かと思ったら、野口じゃねえか。あいつの様子見に来たのか?」
「金崎先輩・・・」
建物の陰に隠れて、わたるの様子を見ていたら金崎先輩が居た。
妹さんが心配で見に来たのか。
ぼくは、変装用のキャップ帽を深くかぶる。
サングラスもしているから、一見してバレないはずだったのだけど。
「先輩こそ・・・妹さんの様子を見に?」
「何もないだろうが・・・心配でな。悪かったな、ガラにもなくシスコンで」
わたるたちは、駅前で待ち合わせしていたが電車には乗らないようだ。
バスも乗らないらしい。
「近所で、どこか遊べるところあったかな」
「あの方角は・・・公園か?・・・変な事するつもりじゃねえだろうな?」
あ、先輩の眉間にしわがよっている。
近くの公園は、噴水や子供用の遊具がある他は何もない。
「まさか、そんなことをしていたらぼくが張り倒しますよ」
わたるに限って、そんなことをするとは到底思えない。
多分。
少し話をしていたら、先に行かれてしまった。
「先輩、追いかけますよ」
「おう」
ぼくたちは、わたるたちを尾行し始めた。
相手にバレないように、隠れながら移動するのは思っていたより大変だ。
「あっ、手を繋いで・・・ちっ、離れろ」
先輩が文句を言っている。
それにしても、何でぼくこんな事してるんだろ。
これじゃあストーカーじゃないか。
「野口、お前・・・折本の事、好きなのか?」
「えっ?」
先輩は何を言っているんだ?
ぼくがわたるを好きだって??
「な、な、な・・・」
言葉がうまく出てこない。
「ああ、悪かった・・・顔をそんなに赤くして・・・まさか自覚なかったのか?」
「だって、わたるとはずっと一緒で・・・」
仲のいい兄弟みたいなものだから。
小学生の頃はお互いの家を行き来し毎日遊んでいた。
中学生になってからは、部活やら色々忙しくなり遊ばなくなってしまったけど。
「嫌いじゃないと・・・思う」
そっか。
ぼく、わたるの事好きだったんだ。
だから、取られちゃうと思って心配になったみたい。
「悪いこと言わないが、早めに告白したほうがいいぞ。どうやらアイツは結構モテるみたいだからな」
うん。
知ってる。
最近、クラスの女子たちがわたるの事をカッコいいって騒いでいたからね。




