↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
11/12

献血?

気持ちのいい初夏だ。

校庭に植えられた桜の樹は青々繁っている。

午後の体育。

校庭で、男子はサッカー、女子はバレーボールをしていた。


バタン!


「「きゃー--」」


女子の悲鳴が上がる。


「えっ?ちょっと、大丈夫??」


女子たちが騒がしくなり、人が集まっていた。

何かあったのか?


「「蒔田さん!」」


誰かが彼女の名を呼ぶ。

確か、吸血鬼って日の光が弱点じゃなかったか?


「折本どこへ行くんだ?」

「悪い、ちょっと抜ける」


急がないと不味いかもしれない。

俺は慌てて、蒔田さんのもとへ駆けて行った。



      *



「蒔田。大丈夫か?」


「・・・うん。運んでくれてありがとう」


俺は、蒔田さんを抱きかかえ保健室へ連れて行った。

保健室のベッドに寝てもらう。

顔が青白く、大分体調が悪そうだ。


「今日は天気が良くて暑かったし、体育の授業出ないほうが良かったんじゃないか?」


「太陽は平気。ちょっと、貧血だっただけ」


「貧血?きゅう・・・が?」


思わず吸血鬼と言いかけて止める。

保健室を見渡すと、養護教諭も留守で俺たちの他に人はいないようだ。

俺は、折り畳みの椅子に座った。


「たまには、血を飲まないといけない。だけど、好みが変わって動物の血が飲めなくなって・・・不味いとは思ってた」


「そりゃ・・・」


普段は動物の血を飲んでいるのか。


「人間の血なら飲めると思う・・・折本、少し血を分けてほしい。お願い!献血だと思って」


蒔田に、必死にお願いされる。


「・・・別に構わない」


「本当?ありがとう」


蒔田さんは、俺の首元に軽くキスをして血を吸い始めた。

何だかこそばゆい。


「ちゅーちゅーちゅーちゅー・・・」


少しと言っていたはずが、だいぶ吸われている気がするな。



「・・・おい」


「ごめん。美味しすぎて飲みすぎちゃった」


血を飲んだおかげか、青白かった顔がピンク色に染まっていた。

蒔田さんの目がトロンとしている。


「・・・きな人の血は甘くて美味」


「・・・え?今何て言った?頭がぼーっとしてて聞こえなかったんだが」


ぼーっとして、少し目が回るな。

血を吸われて、俺が貧血になったらどうしようもないんだが。


『回復魔法』(ヒール)


俺は自分自信に回復魔法を掛ける。

一時しのぎだが、何とかなるだろう。

後でレバーとか食っとかないと。


「顔色もいいし、もう大丈夫みたいだな。また困ったら俺の血吸っていいから。だが、念のため少し休んどけよ?」


「・・・うん。ありがとう」




教室へ戻ると、クラスメートたちに揶揄われた。

・・・横抱き(お姫様抱っこ)が不味かったらしい。

他意はないんだが。


噛まれた首元に手を当てる。

回復魔法で、傷は跡形もなく消えているのだけど。

こそばゆくて、妙な感覚がした。




      *




次の日、学校の昇降口で蒔田さんに会った。


「蒔田さん、おはよう」


「折本おはよう。昨日はありがとう。えっと、一緒に教室まで行かない?」


「おう」


俺は上履きを履いて、蒔田さんと一緒に歩く。


「昨日、吸いすぎたけど平気だった?」


「まあ、普段から鍛えているからな。大丈夫だ」


まあ、家に帰って血になりそうなものを沢山食べたんだが。

しばらくレバーは見たくないかもしれない。


廊下の窓から風が流れる。

蒔田さんの黒髪がふわっとなびく。

ほのかにフローラルな香り。



「わたるー、蒔田さんおはよー」


後ろから、明が慌てて走ってきた。

そんなに、急がなくても良いと思うが。


「蒔田さん、昨日は大変だったね。もう体調は大丈夫なの?」


「うん。休んだからもうすっかり平気」


「いいな・・・ぼくも、お姫様抱っこしてもらいたかったな」


明が慌てて、手で口をふさいだ。

顔が赤くなっている。


「い、今のは例えだからさ・・・ぼくがわたるにして欲しいとか言ってないから。用があるから先に行ってるね」


「・・・そういえば、今日も勉強する?」


ああ、もうすぐ中間テストだっけ。

すっかり、忘れていたよ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。