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ルーン文字
ルーン文字
呪術や儀式に用いられた神秘的な文字として有名。
実際には古代の北欧大陸の一部で日常的に使われていたとされており、ルーン文字で記された書簡や荷札も多く発見されている。
基本的に魔術師達は秘密主義で、世界の理、森羅万象ありとあらゆる魔法世界について、世界の共通言語で記録する行為を好まなかった。
魔術師達は、希少な言語であるルーン語を彼らの共通言語として、書籍や口伝で技術を残す為、ルーン文字を使用したとされる。
ルーン語自体はそう難しい文字では無いと言われているが、その書籍を読めた所で決して魔法が使えるようにならない。
神秘的な文字の代表格として紹介される事もしばしばだが、文字自体に魔法効果が無いからである。
お土産売り場などの店頭に、ルーン語の刻まれた石等がお守りとして販売されている事もあり、勘違いして購入する者も多いらしい。
ルーン文字自体をインチキ臭い商売に使用され始めた理由は、昔ほど力ある魔術師の数がいないからとも言える。
国ぐるみで魔術師を隠し持つ事もしばしばで、下町には本物の魔術師が出歩かないようになって来た。
その為、巷では、明日の天気を仰々しく占ってみせたり、御宣託と称してステーキを出せとか言ったり、流行病で倒れる患者を祈祷と言ったパフォーマンスで治療しようと言う自称魔術師が後を立たない(勿論病は治らない)。
一般市民が本物の魔術師を知らない為に、詐欺師達が大手を振って自称魔術師を名乗るので、大きな問題になっている。
魔術師が激減している昨今、各国首脳陣は魔術師の育成に力を入れている。
また育成するより魔術師を取り合った方が早いとする国も多く、他国の宮廷魔術師をヘッドハンティングなんて話もよくある。
魔術師達を仕官させる事は今や国王達が誇るステイタスの一つであり、魔術師の能力を知らぬ者は間違いなく一般市民として区別がつき易くなっていた。
「つまり、何処かの魔術師が例のモンスターを封印した形跡がある。と言う事か。」
ジュードが要約するとアールが頷いた。
「封印した魔術師が誰か解れば、再度封印して貰うか、退治する協力要請が可能かと。」
「しかしあの塚自体結構な年代物だ。魔術師が生きているかも解らんのではないのか。」
「…ごもっともです。しかし魔術師は我々より長寿とも聞きますし、あるいは。」
「魔術師が死んだから封印の効力が切れた。って、可能性もあるぞ。」
「ジュード様…」
常に最悪の可能性を考えつくのは結構だが、ケチをつけられているようにも感じて、アールはたまに落ち込みたくなる。
「別にお前を苛めて楽しんじゃいない。だが、最悪の事態を予測して置かねばならん。モンスターを森から出してしまう事、善良な市民へ危害を与える事、町にモンスターを放す事は絶対避けねばならん。お前の判断で動かねばならん時は必ず来るのに、居るかどうかも解らん魔術師に思いをはせても仕方が無い。我々だけでモンスターを倒す。魔術師が必要ならギルドから魔術師を要請する。がベストだ。」
「はい。」
「それと同時進行で、当時の文献を漁るなり、ルーン文字の解読を急ぐのはお前の采配で決めろ。手がかりは多いほど良いからな。」
「はい!」
「とは言っても、ギルドからろくな魔術師を送って来ない可能性もあるがな。しかも要請してすぐ近所に能力ある連中がうろうろしているとも思えん。これから紹介状を持って現れる派遣魔術師を採用するかどうかは別問題になるだろうな。」
「…。」
まだ使えない魔術師が到着した訳でもないのに。と、アールは思うが、口には出さない。
「タスク、お前の育ての親は魔術師だったな。セリムとか言ったか?」
書類に走らせるペンの速度を変えずに、ジュードが尋ねた。
「はい。」
「属性は解らないんだったな。実際どういった魔術を使っていたんだ?」
「んー日常じゃあんまり使わなかったしなあ。あ、でも俺の剣術訓練の時は使ってました。」
「剣術訓練で?どうやって?」
剣術とは聞き捨てならずアールが横入りする。
「何処から攻撃されても、対応できるようにって訓練なんだけど、ナイフ10本を自在に操って、俺に攻撃するんだ。八方からナイフが飛んで来るから避けなきゃならんし、はたき落とさなきゃならないし、ナイフが小さいから正確に剣で弾かないと、すぐまた攻撃して来るから、面倒臭いんだ。」
肩をすくめてから、それから、と更に説明の雨が降る。
「それから反重力とか言って、ある一定の範囲内にだけ重力場を設ける魔術もしんどかった。その場所だけ俺の足が地面にめり込む位、空気が重くなるんだが、その中を全力疾走したり、たまに罠とか、障害物を回避しつつ走るとか、重力場で岩を積んで2つ目のみ砕く練習とか、剣の型を…。」
アールが二の句を告げられなくて、魚のように無言で口をぱくぱくさせている。
ジュードも黙って聞いていたが、それから…と続けようとするタスクの話を、もう良い。と遮った。
調度ギルドから魔術師が到着したと、メイドが知らせに来たからでもあった。
「じゃあお前が採用不採用を決めろ。」
「え。」
まさかの咄嗟の思いつき?




