24 切れた鎖
竜の体が傾き、倒れた。ウィリアムは竜の首を優しく抱きしめた。竜の顔に自らの顔を押し当て、涙した。左目がまだ熱い。
「いやだ、一人にしないで!置いて行かないで・・・!」
胸が締め付けられるようだ。あんなに心地よかったはずの、孤独の胸の痛みは、本当の痛みになった。
周りはそれを黙って見ている。
「エドモンド、お前はその、魔物の子を育ててきたのか。」
カニバーリェス卿が呟いた。
「だったら、何か?」
どこかで自分が聞いたセリフ。特別な感情など込めず、そのままを喋った。そして、銃を向けて撃った。カニバーリェス卿の体が倒れた。他のスペイン兵は、竜にやられた傷が深く、もう助からないだろう。ウィリアムは、相変わらず竜にしがみついて泣いていた。ローランド卿はふと、ウィリアムの左目の鱗が消えかかっているのに気付いた。黄金の瞳も、黒の部分も変色している。
「余計な手間をかけさせるな、ウィリアム。帰るぞ。」
ウィリアムはローランド卿を振り返った。
「義父上・・・。」
ローランド卿はウィリアムを見つめた。
「私を『義父』と呼ぶな。何度言ったら分かるんだ。」
ウィリアムの目にまた涙が溢れた。イギリス兵達は口にこそ出さなかったが、可哀そうに、という目で、このやりとりを見ていた。
「・・・申し訳ありません、ローランド卿。あの・・・。」
ウィリアムの顔の薄れていく鱗を見て、ローランド卿は確信した。この子は、アゼルの扉が開かれた時、死ぬはずだった。その呪いによって。だが―。




