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05 4人家族(過去編)

「お姉ちゃん!?私お姉ちゃんになれるの?」


私は嬉しかった。本当に嬉しかった。兄弟という存在に少しだけだけど憧れがあった。叔母と母の関係がなんだか私にとっては羨ましくて。私の人生においてきっとこれ以上はない、幸福な時だと思う。でも、その幸福も神様は続かせてはくれなかった。


それは、樹生が生まれる少し前のこと。夜、喉が乾いて目が覚めた時、リビングで父と母が何やら言い合いをしていた。2人が喧嘩するところを見たことなかった私はなぜ喧嘩しているかわからなかった。でも、なぜか嫌な気持ちが、不安な思いが、ただただ心に残ったまま、樹生が生まれた。

可愛かった。母にそっくりだった。将来美人になると思う。でも、予定より早い出産だったから、身体がとても小さかった。母も産後何週間も経ったのに体力が全然回復しなかった。そんな2人を見ていられないかのように父は仕事に没頭していた。2人がお家に帰って来れたのは出産後2ヶ月が経とうとした頃。父はどんどん帰ってくるのが遅くなっていて、私も美術部があったから日中は母1人で樹生を見ていた。育児疲れとかもきっとあったと思う。


「志織。お母さんとお父さん離れ離れになるかもしれない」

「え?!なんで?樹生生まれたばかりだよ?」

「ねえ、志織、それでも私は志織のお母さんだからね。家族4年幸せに暮らせると思ってた」

「私もそう思ってるよ・・・?」


時々母は弱音を吐くようになった。そうだ!私がお母さんとお父さんの仲を取り持とう!


「もっと早く帰ってきて。お願い!お母さんと樹生とお父さん、私、家族4人で協力していこうよ!お父さん!!」


父の表情は暗かった。きっと私にはいつも通り接したかったのだろう。そして何も知らない私は、そんなことを言ってまた仲のいい夫婦に戻ると思っていた。


「それならお前が行くか、志織。・・・お前が遠くへ・・・行くか」


父は声を低くして言った。私は父にその日、捨てられた。

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