03 4文字
『催促通知』
その4文字に私は一気に気持ちが冷めていく。母は、生まれたての樹生を家に残し出て行った。でも、残して行ったのは決していい事だけではなかった。多額の借金。そしてそのことを知ったのは、母が出て行ってすぐのことだった。
今月は特に、アルバイトの数を減らしてもらっている。私自身最終面接やらなんやらあったし、樹生の小学校の行事ごととか、とにかく出費がかさんでいる。
あーあ、家に帰るのやめようかな。ねえ、樹生。お姉ちゃんと一緒に遠いところに逃げちゃおうか。
なーんて、きっと樹生は笑っていいよって言うんだろうなあ。
「・・・お姉ちゃん」
「樹生、起きた?もうちょっとで家に着くよ。もうちょっと頑張ってね」
「・・・ごめんね、僕のせいで。僕がお熱出しちゃったから」
「そんなこと気にしなくていいんだよ。早く良くなってね」
早く帰ろう、2人の家に。
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ガチャ
「ただいま〜。樹生、おかえり〜」
「・・・ただいま。お姉ちゃんもおかえり」
「だいぶ起きたね。もう玄関だし自分で歩けるね?」
「うん・・・ありがとう。僕重かったでしょ?」
「ぜーんぜん。お姉ちゃんからしたら全然軽いよ。猫ちゃん抱えてるかと思った。それより、早く手を洗っておいで」
「猫じゃないもん!」
「あーあ拗ねちゃった」
だいぶ元気が出たみたい。よかった。意識が全然はっきりしなかったから心配してたけど家に着いた途端だいぶ良くなったみたい。この調子なら明日学校行けそう。ご飯どうしようかな。そんなことを考えながら私も手を洗い、部屋着へ着替えてキッチンへ向かった。10畳の1Rの部屋に姉弟2人暮らし、月6万の家賃。色々考えてしまう。
全てがあの4文字のメールのせい。
私が見たことも触ったこともないお金のせい。
全て母がいまだに恋しいと会いたいと考えてしまう自分のせい。




