02 2.5時間分
「あ、樹生くんのお姉さん。お疲れ様です。お迎えですね」
「橘先生、お世話になっております」
慣れた足取りで職員室へ向かう。樹生が小学生になってから、熱が出て今回みたいに迎えで呼ばれるから校舎にも詳しくなってしまったし、先生たちにもよくしてもらっている。職員室へ向かう途中、今の樹生の担任である、橘先生にあった。
「この時間アルバイトでしたよね?大丈夫でしたか?」
「はい、理解してくれるバイト先で。」
「それならよかったです。樹生くんお姉さん呼ばないでって言って聞かなかったんです。多分、我慢してたんでしょう。午前中も普通に体育に参加させてしまったので、体調が悪化してしまったんだと思います。気づかずにすみませんでした」
「いえ、わたしも樹生の異変に気づかなかったので」
先生がわたしに謝る。そんなに気にしなくていいのに。逆にわたしがもっと樹生のこと気にかけてれば樹生が無理してるのにも気づけた。
ガラガラ
保健室に着くと、ベッドに横になっている樹生がいる。顔色が悪いし、震えている。息苦しそう。
「すみません、先生。また連絡はしますがこの様子だと明日も学校来れないと思います。今日とりあえず病院に連れて行きます。ご迷惑をおかけしました」
「いえいえ、お大事になさってください。お姉さんも無理せずほどほどに」
「ありがとうございます」
樹生を抱えて保健室を出た。樹生は、生まれた時2000g以下のいわゆる低出生体重児で、その後も他の子と比べて大きくなるのが少し遅い。8歳でもおんぶで移動なんて余裕の重さ。少し前はこの子を憎んだこともあった。でも、この子が、私の唯一の家族で、この子のためにも生きなければならないと思ってる。
色々と考えているうちに樹生のかかりつけの病院に着いた。
「ただの風邪だね。肺炎とかではないよ」
「よかった」
生まれた時から、お世話になっている先生に大丈夫だって言ってもらえると安心できるなぁ。
「お薬も出しておくから、飲ませてあげてね」
「はい、ありがとうございます」
先生に見てもらってる間も樹生は、目を開けなかった。開ける元気もなかった。
「神崎さん、お会計こちらになります」
3765円。薬代込みでこの値段。バイト⒉5時間分くらい、か。
そんなことを考えていた時、
ピロン
スマホが鳴った。あぁ、最悪だ。なんで今日なんだろう。




