01 平日の昼間
「いらっしゃいませ、2名様ですね?お席へご案内いたします。」
平日の昼間というのに、店内は混んでいた。ここは、大学1年の時からバイトしている、レストランだ。スタッフも優しくて、融通もきく。樹生と2人暮らしになった時、樹生はまだ8歳。小学生で行事ごととかで急遽シフトを変えてもらうことがあった。そんな時も笑顔で対応してくれて本当に感謝している。ここは、夜はバーにもなるしもちろんそっちの方が給料もいいらしいけど、8歳の子供を夜1人にするのはどうしても不安だったから昼のみ働いている。
「本日のおすすめは、旬の野菜を使った5種のテリーヌとなっております。合わせて、白ワインもおすすめしておりますので、お決まりになりましたら、こちらのベルでお呼びください。失礼します。」
サッと料理のおすすめにワインを添えて紹介する。4年前はできなかったが今では自然と出てくるようになった。
チャリン
さっきのお客さんが料理を決めたらしい。席へ向かい、メニューを聞くと
「さっきおすすめしていた料理とワインをください」
とのこと。
こういう時はおすすめはしてみるものだなぁと感じる。キッチンへ向かい料理長に、注文内容を伝えると
「了解」
とだけ返事がある。シェフはオーナーである料理長、智さんと料理長の奥さんの千佳さん、そして息子さんの龍太さんの3人だけ。席数は多いし、ウェイターも多いのにシェフが少ないから、普段は明るい料理長も淡々と料理しないとミスが生じてしまうらしい。
その時だった。ポケットに入れていたスマホがなった。この時間にスマホに通知が来る時はたいてい
『立冬小学校から』
間違いない。樹生の学校からだ。
「すみません。少し裏に行きます」
「はーい」
他のスタッフにそう伝え裏へ行った。メールを確認すると
『神崎樹生くんが、38.2度の発熱がありました。
お忙しいと思いますが、お迎えをお願いします』
と書かれていた。樹生は、生まれた時から体が小さくて弱かった。だから、季節の変わり目とかでは必ずと言っていいほど体調を崩していた。
「オーナー。申し訳ありません。弟が熱を出したみたいで・・・」
「大変だね!早く迎えに行ってあげて!」
「すみません、ご迷惑おかけします。」
オーナーの代わりに千佳さんが答えてくれた。忙しいこのタイミングに抜けるのは本当に申し訳ない。深々とお辞儀をして、ホールスタッフにも同様のことを伝え、わたしはその場を去った。
今日のバイト時間わずか2時間。今月のお給料は大丈夫かな。




